VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ～人を見たら経験値と思え～

第28話 異世界転移編 夜の掃討

「セバスよ、もうそれ位で納得したのではないか？」

「いえ、お嬢様。　今の状態であれば一晩中戦っても、戦い抜ける自信がありますぞ。　まるで全盛期に逆戻りしたかの様で御座います」

　そう言って、嬉しそうに笑顔はテカテカであった。　ヴァンパイアになって初めての夜だからね。　仕方がないのかも知れない。

「それじゃぁいっそうの事、この森にいる魔物を狩り尽くしてみるか？」

「何だか今の状態ならば、イケそうな気がします」

　半分、冗談だったんだけどな。　セバスは俄然（がぜん）やる気だ。

「セバスよ、気配察知は使えるか？」

「気配察知で御座いますか？　多少なら心得が御座いますが…」

「魔物の気配も察知出来る様に訓練せよ。　いつかはダンジョンに潜ろうと考えている。　その時は魔物に対する気配察知が使えないのであれば、同行させる事が出来ないからな」

「承知致しましたぞ、お嬢様。　このセバス、今晩中には会得してご覧致しましょうぞ」

「うむ。　行け、セバス」

「はっ、承知しました！」

　そう言ってセバスは、森の奥深くに入っていった。　いやぁ、気配を消すのが得意な魔物だっているんだけどね。　実際に近くにいる蜘蛛の魔物なんかは見つける事すら出来ない様子だった。

　でもまぁ良いや。　気配を消すのが得意な魔物って大多数が、か弱い魔物だし脅威にはならない。　とは言ってもアサシン寄りの魔物とかは見落としては困るんだけどね。

　そして私は気配察知と魔力探査の合わせ技で、どこまでが探知可能なのかを検証してみる事にした。　正確な探査は５００メートルが限界だったけど、最大距離はどの位あるのだろうか？

　本日２度目の魔力による潜水艦でのピンを再現した方法で、周囲に魔力を飛ばす。　すると、セバスらしき反応がゴブリンと戦闘しているのが確認出来た。　いや、待てよ。

　セバスが戦っているゴブリンだが、やけに数が多い。　気になって更に周囲を観察していると、指揮をしていると見られる個体が発見された。

「これはもしかすると、近くに集落でもあるのか？」

　更に探査範囲を広げると、何やらゴブリンと思（おぼ）しき集団が固まっている場所がある。　思（おぼ）しきと言ったのは距離が２キロ程離れており、ゴブリンかどうかハッキリしないタメだ。

「実際に見に行ってみるか」

　私は空を飛んで、集落を目指す。　すると途中でセバスがゴブリンと格闘していたが、助けが必要な様子では無かったので無視して進んだ。

　すると集落と思われる場所からは、ゴブリンとその上位個体と思われる反応があった。　セバスと遭遇したのは、そこからの探索部隊か何かだったのかも知れないなと思った。

　そして、集落の上空に来て唖然とする。　住んでいたのはゴブリンだったのだが、そこには家や集落を囲う柵のようなモノまであるではないか。　しかも規模が人間が作る町などよりも大きいのだ。

　魔物が本当に集落を作るって事に驚きを感じる。　ゴブリンは以前鑑定した時は、対して賢くない印象だったんだけどな。　それに数だって下手な人間の集落よりも多い印象を受ける。

　そんな事を考えていたからだろうか？　その集落から対空砲火があった。

「うぉっ！　あっぶねーなぁ。　鑑定！」

　対空砲火をした個体を鑑定する。

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　名前　：　なし

　種族　：　ホブ・ゴブリン

　性別　：　♂

　レベル：　２１

　体力　：　１２０

　魔力　：　９０

　筋力　：　３０

　持久力：　６０

　賢さ　：　５０

　器用さ：　３０

　素早さ：　２０

　攻撃力：　３０　＋　８

　防御力：　２５

　スキル：　魔力量増大

　取得魔術：　火炎魔術

　称号：　なし

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「おおぅ、マジック・キャスターのホブ・ゴブリンかっ！」

『目には目を、歯には派を』、実に名言である。　なので、私も炎系で対処する事にした。

「ギガ・ファイヤー・ストーム！」

　魔術の発動と共に、空をも焦がすほどの火炎竜巻が発生する。　集落をスッポリと被うほどだ。　その炎の竜巻は、逃げ惑うゴブリンたちを蹂躙（じゅうりん）した。

　周囲は最早（もはや）、阿鼻叫喚（あびきょうかん）の地獄絵図だ。　炎に巻かれたゴブリンたちが、次々と倒れては炭化していく。

　これで終了かと思われた集落だったが、一つの雄叫びが周囲に木霊した。

「グガァァァァァァーッ！」

『鑑定！』

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　名前　：　なし

　種族　：　キング・ゴブリン

　性別　：　♂

　レベル：　３０

　体力　：　６４０

　魔力　：　５９０

　筋力　：　２００

　持久力：　５００

　賢さ　：　３００

　器用さ：　２００

　素早さ：　１００

　攻撃力：　３００　＋　１２０

　防御力：　２５０

　スキル：　魔力量増大、腕力増大、魔術耐性

　取得魔術：　火炎魔術

　称号：　なし

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「おおぅ、キング・ゴブリンじゃねーかっ！」

　こうして、私たちの戦いは始まった。