第27話 異世界転移編 闇魔術

 私は上空からセバスの狩りを見学していたのだが、無事にウルフも狩る事が出来たみたいで安心した。


 もしかしたらとの思いで、セバスを鑑定する。


「鑑定!」


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 名前 : セバス・ドルネイク

 種族 : 吸血鬼

 性別 : ♂

 レベル: 1

 体力 : 2,700

 魔力 : 1,200


 筋力 : 960 + 120

 持久力: 800

 賢さ : 720

 器用さ: 680

 素早さ: 900


 攻撃力: 1,300 + 140

 防御力: 1,050 + 20


 スキル: 聖剣技、暗殺術、計算、料理、吸血、血流操作、再生(小)


 弱点 : 日光、聖水、聖銀


 取得魔術: 火炎魔術、生活魔術、闇魔術


 称号: 『元・剣聖』、『暗殺者』、『ルビー・サファイヤの眷属』


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 やっぱり、あの程度じゃぁレベルアップは望めないか。 ちょっと残念だけど、仕方がない。 何だがセバスも考え込んでいるみたいなので、声を掛ける事にした。


「おーい、セバスぅ」

「はっ、お嬢様。 いつからそこに?」

「いや、実はずっと観察していたんだけどさ、お前がちょっと考え込んでいるみたいだから声を掛けた」

「それは、お手間をお掛け致しました」

「何か、ウルフ討伐で失敗したの? 見た感じは問題無さそうに見えたけど」

「いえ、ヴァンパイアと人間との違いについて、少し考え事をしていただけに御座います」

「そっか、それならいいや。 ところで、闇魔術を試してみないか? 火炎魔術が元々使えていたお前なら、問題なく使用できるハズだよ」

「闇魔術…で御座いますか?」

「まぁザックリ言えば、闇系統の魔術が使えるハズなんだよ。 精神に作用する『魅了』や『催眠』、それに攻撃魔術としての『ダーク・バレット』や『ダーク・スラッシュ』なんてのもある」

「『魅了』や『催眠』はどのように使えば宜しいので?」

「人間を狩る場合かな。 捕獲対象を魅了して言う事を聞かせたり、眠らせてたり出来るよ。 まぁ言ってしまえば無力化だね」

「では『ダーク・バレット』や『ダーク・スラッシュ』とは何でしょうか?」

「『ダーク・バレット』と『ダーク・スラッシュ』は、『ファイヤー・バレット』と『ファイヤー・スラッシュ』の闇バージョンかな。 火魔術と違って火事になる心配がないので、森の中なんかでも重宝するよ」

「教えて頂き、有り難う御座います。 『魅了』や『催眠』は今は使えそうにありませんが、『ダーク・バレット』と『ダーク・スラッシュ』なら、この森でも使えそうですな」


 まぁ人間が周りにいないからね。 『魅了』や『催眠』は、今は練習出来ないけど、『ダーク・バレット』と『ダーク・スラッシュ』なら覚えておいて損は無いハズだ。


 そこで、周囲を気配察知と魔力探査でサクッと探す。 すると100メートル程離れた場所に、ウサギが隠れているのが見えた。 僅かだか木陰の中から尻尾が見える。


「なぁ、セバス。 あそこにウサギの尻尾があるのが判別出来るか?」


 そう言って、ウサギの尻尾を指差した。 するとセバスは、そちらの方角を詳しく観察し、声をあげた。


「あぁ、アレで御座いますか。 よくこの距離から見つけましたな」


 なので、その胴体があると思われる部分に闇の弾丸を打ち込む。


「ダーク・バレット!」

「おおぅ、命中したみたいで御座いますよ、お嬢様!」


 歩いて、射撃の成果を確認しにいく。 すると、胴体を撃ち抜かれて死亡したホーン・ラビットの死体があった。


「凄まじい命中制度で御座いますな」

「遠距離攻撃の手段は持っていた方が良いだろ?」

「うーむ、私に出来るでしょうか?」

「慣れは必要かな」


 そう言って言葉をにごした。 実は誰ともパーティーを組めなかった私は、地道に魔術関連の訓練を死ぬほどしたのだ。 だから、魔術を使ったヘッドショットが出来るのもそのセイなのだが、何だか自分からは言いたく無かった。


流石さすがで御座います、お嬢様」

「いやぁ、それ程でも無いかなぁ。 あははははっ!」


 そんな羨望の眼差しで見るのは止めてくれ。 なんだかんだ言って、ゲームでもリアルでもボッチだった私には辛いんだ。


「でもお前は、『ダーク・スラッシュ』を覚えた方が良いと思うぞ。 威力だって増すんだし」

「それもそうで御座いますな。 遠距離攻撃はボチボチ覚えるとして、剣技に使える魔術は早めに習得しようかと存じます」

「うむ、はげむのだぞ」

「はっ、良い報告が出来るように頑張ります!」

「いや、ほら、剣術の稽古だったら一人だって出来るし、『ダーク・スラッシュ』なら周囲にある木を対象にしても良い。 まぁそっちもボチボチで…」

「なる程、その方法が御座いましたな。 ダーク・スラッシュ!」

「おおぅ、結構な大木だった気がするんだが、一刀両断とは驚いた」

「ははは、まだまだ参りますぞぉ! ダーク・スラッシュ!」


 何だが、新しい剣技を覚えたのが嬉しいのか、『ダーク・スラッシュ』を連発していた。 おーいセバスやーい、それ位で十分なんじゃないんですかぁーっ!


 まぁ森林破壊をしたって文句を言う連中がいるでなし、好き勝手させておくか。 というか、子供みたいだなセバスは。 見た目は初老なのに。


 うん、理解した。 コイツは見た目だけが執事の剣術バカだ。 その内に『飛ぶ斬撃』とか覚えそうで怖い。


 しかしセバスって口で説明したときはポンコツなのに、実際にやらせてみると有能なんだよな。 つくづく実践派なんだなぁと思う。


 偉そうに闇魔術の事を語ってしまったけれど、私自体、この世界では多くの魔術を試した事すら無い。 実際に使って見ないと良く分からない魔術だって多いんだよなぁ。


 特に、威力関係なんてほとんど未知数だ。 闇魔術で言うなら、『ブラック・ホール』とかは威力の差で天と地程も差がある魔術だからなぁ。


 まぁ隠れて魔術の実験する必要があるんだろうなぁ。 なんて、この時はバカな事を考えていた。


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