第6話 異世界転移編 禁書庫
禁書個に近づくと、入り口を二人の衛兵が護っていた。
「止まれ! この先は禁書庫しかない。 許可の無い者は例え王族であろうと立ち入る事は許可できない!」
「セバス、
「承知しました、お嬢様」
「止まれと言っている! それ以上近づくと、うぎゃぁぁぁ~っ!」「うぐっ!」
「終了しました、お嬢様」
「うむ」
セバスは血を見て少し興奮しているのか、目が赤く輝いていた。 まだ吸血鬼になったばかりだから、仕方がないのかも知れないな。
しかしだからと言って、血を
「私は暫く読書をしていようと思う。 お前は吸血鬼になったばかりだ。
「いや、私は…」
「慣れるまで、吸血衝動を抑え込むのも苦しかろう。 ならば、少し狩りでもして、私にも若い女を頼む」
「承知致しました。 極上の娘を差し出すと誓いましょう」
「では、行け!」
「はっ」
いや、私だって本当は乙女の血の味だって知らないんだけどね。 でも少しは知っておいた方が良い気がしたのだ。 例えばバフ効果とかもあるかも知れないし。
だけど実は、私には吸血衝動なんかは殆ど無い。 それは私が『オリジン・ヴァンパイア』であるかも知れないのだ。
例えば吸血鬼ドラキュラ伯爵のモデルになったヴラド・ツェペシュは、『串刺し公』なんて呼ばれる残虐な殺し方を好んだ人物であって、血を
確かに私も血を見ると少し興奮してしまうのだが、その大半は『経験値』として見ているからであり、『血』そのものが欲しいわけでは無いと思っているのだ。
だが本能の何処かでは少し血を飲みたいと思っているし、出来れば処女の生き血とかにも凄く興味がある。 それに、もしも血を吸わないと弱体化とかする可能性も少しはあるんじゃないかと思っているんだ。
一番問題なのは、食料がどうなるかって事だ。 多分人間の食事でも問題なく栄養補給出来そうな予感はするのだが、食の好みは変わっている可能性が高いと思っている。
最悪の場合は、女でも
まぁ良いか。 おいおい調べていくとしよう。
私は禁書庫の扉を破壊して、中へと押し入った。 古い紙や羊皮紙の臭いが混じった独特の臭いがする。
「さぁて、禁書、禁書っと」
この世界の一般的な魔術にも興味はあるのだが、気になったのはどんな魔術が禁呪扱いになっているかどうかだ。
例えば『死霊魔術』なんてモノも習得しているのだが、街中では使わない方が良い事くらいの
逆に言えば『聖』属性の魔術は一切使えないし、セバスなんかは聖魔術が弱点になりうるのだが、一般的な解釈で言えば、『闇』魔術が希少魔術である場合は『聖』魔術も希少だと思っている。
つまり、平凡な闇魔術が禁書に含まれていた場合は、聖魔術が使える者も少ない可能性が高いと思っているのだ。
この世界の常識を学ぶまではセバスの知識が必要だと思っているし、もしも今のセバスを簡単に殺せる連中がいた場合は色々と考える必要も出てくるだろう。 それは吸血鬼の対象方が確立している世界だと言う事なのだから。
まぁ良いか。 結果はすぐにでも出るだろうから、私は禁書を探すとしよう。
一つ本を書架から取り出す。 えーと何々? えっ、歴史書?
どうやら禁書の多くは、人に知られるとマズい歴史とかが該当するようだ。 そりゃそっか。 歴史なんてモノは強者が作る物語であり、現実とは大きく違う。 それはこの世界でも同じ様だ。
面倒だな、全てストレージに仕舞い込んで、リストから検索した方が早そうだ。
そうとなっては、目に付く本を全てストレージに仕舞い込んでいく。 これってこの国とかには、恨まれそうだな。 だって不都合な証拠品たちなんだから。
そう言えば、GHQは行った裁判の殆どの記録を禁書扱いにした過去があったよな。 歴史を捏造するには不都合な事が多すぎたんだろう。
そう言えば、ある遺伝子学者が言っていたよな。 侵略の正確な記録は、Y遺伝子にしか存在しないって。 まぁ判明するのはレイプの歴史だけだが。
「ストレージ・リスト!」
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レギオン・マジック(火魔術)
レギオン・マジック(風魔術)
レギオン・マジック(水魔術)
レギオン・マジック(土魔術)
レギオン・マジック(毒魔術)
レギオン・マジック(死霊魔術)
レギオン・マジック(冥府魔術)
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あれ? 禁呪ってレギオン・マジックばっかじゃん。
どうなってんのコレ? そう思って『レギオン・マジック(土魔術)』を取り出して中を確認してみると、人工地震の起こし方が事細かに掛かれていた。
更に『レギオン・マジック(水魔術)』には水害の起こし方が、『レギオン・マジック(火魔術)』に至っては日照りと思わせるモノが掛かれていた。
ヘドが出るな。 何となくだが、それらの使い方が分かった気がした。
「人工的な天罰や奇跡の再現か…」
うん、この城の人間は、少なくとも皆殺しにしよう。 何だかその方が良い気がしてきた。 絶対、この国の上層部はロクな連中じゃ無い気がする。
別に潔癖症ってワケでもないんだけど、知ってしまった以上は気分が悪い。 それに世界が少し綺麗になるし、私も経験値が得られてウハウハだ。
「そう言えばセバスは戻って来ないケド、何をしているんだ?」
そう言いながら、私は禁書庫を後にした。
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