第4話 異世界転移編 宝物庫

「内臓ブチまけてぇ、死ねやコラぁぁぁ~っ!」


 敵がドンドン押し寄せてくるが、彼らが経験値だと考えると自然とテンションが上がった。 ヤバい、顔がニヤけそうだ。


 何気なく振るっている死の大鎌デス・サイズだが、コレは特別製だ。 素材にはアダマンタイトを使い、VMMO時代に大量のゲーム内通化と仮想通貨を使って、一番腕の良い生産職の鍛冶屋に頼み込んで作って貰った一品なのだ。


 その切れ味は鋭く、鉄やはがねなどの魔力を宿さない剣やよろいなら、一撫ひとなでで蹂躙じゅうりんできる業物わざもの。 当然その性能はこの世界でも有効だった様で、駆け寄ってきた騎士なども鎧諸共輪切よろいもろともわぎりにしてやった。


 だが、こいつの真価は魔力を流し込んだ時に、空間をも断裂する能力だ。 その名は『ディメンジョン・カッター』。 未だに防がれた事が無い最強奥義だ。


『ディメンジョン・カッター』はその性質上、魔法や魔術すら切り裂く事が可能なのである。


 中には魔術障壁で身を守ろうとする者もいたのだが、障壁ごと切り裂いてやったら、唖然とした姿をさらしながら死にやがった。 ざまぁ。


 通路の内部は武器を振るうには十分な幅があり、とりでや城を思わせる作りだ。 そのセイだろか? 敵が次から次へをいて出てくる。


 普通の人間なら嫌気が差して撤退を選ぶかも知れないが、私にとっては貴重な経験値様だ。 当然、誰一人として逃すつもりは無い。


 ヤバい脳汁がドバドバ出るのを感じながら、通路を文字通り切り開いて行く。 ストレージに入る現地通貨も増えてウハウハだった。


 どの位切り裂いたのだろうか? 脳内にアナウンスが聞こえる。


 ≪経験値が一定に達しました。 レベルアップします。 レベルアップに伴い、各パラメーターが上昇しました。≫


「キタキタキタキタァァァーッ!」


 パラメーターの確認は後に回すとして、更なるレベルアップを目指すとしようじゃないか。


「adiowqieu助けauriew!」


 助けを求めている者も殺す。


「怯むな! qweopueklfasjklsvzxn!」


 勇敢に周りを鼓舞する者も殺す。


「死ね、wreouiwzxjvkllzfis!」


 偉そうな事を言っている奴も殺す。


「殺せ! sakfhqwruoi、fsdlkzcxnxm!」


 命令している奴も殺す。


 そうしてどれ程進んだ後だったろうか? 気がついた時には、もう襲ってくる連中は全ていなくなっていた。


 するとふと、豪華そうな扉が目に止まる。 ガチャガチャと取っ手を動かしてみるが、鍵が掛かっている様子だった。


「切り裂いてみるか。 ディメンジョン・スラッシュ!」


 扉を破壊して内部に入り込むと、そこには美術品やら宝石やら、装飾された武具などがキチンと整頓されて収められていた。


「もしかして、宝物庫なのか?」


 目についたモノを片っ端からストレージに仕舞い込む。 粗方収納を終えた時点で、ストレージの中を確認した。


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 オリハルコンの延べ棒 × 12

 ミスリルの延べ棒 × 58

 アダマンタイトの延べ棒 × 31

 金の延べ棒 × 107

   ・

 リュミテール白金貨 × 268,253

 リュミテール大金貨 × 148,513

 リュミテール金貨 × 584,856

 リュミテール大銀貨 × 538,752

 リュミテール銀貨 × 185,578

 リュミテール大銅貨 × 751,598

 リュミテール銅貨 × 485,485

   ・

   ・

   ・

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「うひょぉぉぉ~っ、大金持ちだぁ!」


 宝物庫があったと言う事は、恐らくこの場所は城か何かだ。 だとすると、次に狙うのは『禁書』などが含まれた書庫ではなかろうか?


 城の攻略に俄然がぜんとやる気が出てきた。 魔力量だってカンストしていていた私なら使える禁呪もそれなりにありそうだ。


 さーて、探しまくるぞぉ。 と思ったまでは良かったのだが、自分が何階の何処にいるかも分からない状態である。


 かと言って、部屋を虱潰しに探していたのは、何時まで掛かるか分かったモノではないし、誰かを捕まえても言葉すら分からない状況だ。


「困ったぞ」

「お困りですカ?」

「ん? 誰だ、お前」

「laskdjセバスrewuzxcjk」


 なんだ、この執事っぽい奴は。 気配を全く感じなかったぞ。 出来るな、コイツ。


 セバスと名乗った執事は一例をすると、執事には不釣り合いな聖剣の様な物を構えた。 面白い、この私と一人で戦うつもりの様だ。


「良いだろう。 相手になってやる」


 そう言って、私も死の大鎌デス・サイズを構えて臨戦態勢を取った。 次の瞬間、執事の気配が消えて背後に現れた。


「へぇ、下手な騎士よりもやるじゃないか」


 振り下ろされた聖剣を死の大鎌で受け止めながら、私は自分の口角が上がるのを感じた。


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