第9話


思い出していたあの頃の記憶達は、泡となって弾け飛んでいった。




呆気なく。




本当に、跡形もないほどに。




「……ひ、すい……?」




瞬きを繰り返す。




翡翠だけではなく、助手席には琥珀が、運転席には洪もいる。




「あ、れ?」




ちょ、い、いつの間に!?




車のドアが開いた音にも気が付かないくらい、思考に耽ってしまったらしい。



「……え、っと、」



目をさ迷わせる。

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