第8話
全てを失って。
それでも、歩き続けた。
「……優しさなんか、いらない。」
心を、磨り減らしながら。
自分に不必要な他人を、蹴落として。
闇に染まれたの。
ーーーー”あの人達“の娘だったから、簡単だった。
「…………、瑠璃、さん?」
「っっ、」
はっと目を開ければ、目尻を下げて、心配げに瑠璃を見つめる翡翠がいた。
「っ、あ、」
掻き消える残像。
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