第4話

「テルセウス様の教育方針についてですが」


白色のシースルー衣装に身を包むマシェラトが話し出す。

女王・シャルリュテと、騎士・アルトメリア。

そして、暗部に属する桃色の髪をした女性、パティパトラが会議室に集まった。


「武術系の咒紋タヴトゥを授けるか、魔術系の咒紋を授けるかですが…」


シャルリュテは紅い髪の毛を揺らしながら、テルセウスの未来を想像して楽しみにしていた。

何れは、シャルリュテの地位を受け継ぎ、このサントモーレ領土を支配する王となるだろうと、シャルリュテは思っている。

問題は、どの様な能力を身に着けるかであり、テルセウスの実力次第では賢き王にも愚鈍なる王にもなる。

何方にしても、シャルリュテの息子である事に変わりはなく、絶対王政であろうともテルセウスの好きにすれば良いと思っている。


「無論、武術系の咒紋だろう、私が直々に手解きをし、強者としてテルセウス様を王とするのだ」


腕を組みながらアルトメリアはそう言った。

単純に人を育てる事が好きらしいが、男として生まれたテルセウスならば、筋骨隆々とした大男になるだろうと考えると、少しだけ興奮している様子で赤面していた。


「あ、アルトメリア、えっちな事考えてる」


パティパトラは両手で頬杖を突きながら、アルトメリアの顔を見てそう言った。

アルトメリアは目を開き、牙を剥きながら左右に首を振る。


「そんな事、考えているワケないだろうが!!」


パティパトラ。

淫魔と戦処女の間で異種配合された半人半魔の女性だ。

淫魔として、他のモンスターの体液を啜りながら生きる彼女だが、持ち前の闇に潜む権能を使役して、暗殺と言った行為を得意とする。


「でも、わたし分かるんだけどなぁ…」


気骨なアルトメリアが、まさか惚気る様な事を考えているとは珍しい。

それ程までに、テルセウスと言う異質な存在が、彼女達の心を引き寄せてしまうのだろう。


(確かに、テルセウス様は可愛らしい見た目をしてるから仕方が無いけど…それよりも、考えるべき事、こればかりは重要だと思うものが、一つだけあるんだよねぇ…)


頬杖を突きながら、パティパトラは黒色の尻尾を左右に振りながら考える。


(テルセウス様の初夜の相手、つまり初めてを誰が奪うのかって話だけどぉ…一番搾り、絶対美味しいよねぇ…どうにかして、私が貰えないかなぁ)


十数年後の事を考えながらパティパトラは思っていた。

淫魔である彼女は、アマゾネスの中で男が生まれたと言う事実に驚き、そしてその味はどれ程の美味であるのか、と考えつつあった。

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アマゾネスの王~美少女しか生まれない種族に生まれた世界で唯一の男は溺愛されながら王の道を歩き出す~ 三流木青二斎無一門 @itisyou

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