第4話 5期生最後の1人と遭遇

 その次の週の水曜日。は本社ビルに行った。今日はマネージャーさんと初めて会う日だ。


 集合時刻の35分前。例の会議室に辿り着いた僕は先に着席し、VRサーバープログラムの方法などの学習をしていた。


 僕はこの会社でもプログラムをしたいと思っているのでVR空間に学校を作ろうと画策していることを社長に伝えたら会社のSEたちがめっちゃ群がってきて意気投合して今に至る。なお僕が1番若いはずなのにアイデアを出したからか隊長と呼ばれている。なんでや。


 話がそれた。今日は顔合わせである。赤坂さんもくるらしい。


 と、そのとき、会議室の扉が開いた。まだ30分前にはずである。


「......っえっ!?」


「おはようございます」


 前者は見知らぬ女の子、後者は僕である。さらにスーツに身を包んだ女性が入ってきた。


「おはようございます。改めまして、私、5期生マネージャーを務めさせていただきます、宮野まみと申します」


「ああ、マネージャーさんか」


「まみーじゃーさんです!」


 ここで初めて例の人が喋った。


「!?」


 改めてそちらを見ると...小さい。背が。150あるだろうか。しかも銀髪だった。


「えっと、赤坂さん...かな?」


「そうです。......そっ、その、よろしくお願いします」


「よろしくね」


 確か、人見知りとか言ってたな。......しかし、どこかであっただろうか。見覚えがある顔の気がするんだが...?


「あの、私ラクシュ姉様の妹、です。エレナ、とお呼びください」


 ああ!なるほど、あの絵師さんの妹か、金髪じゃなくて銀髪バージョンなんだな...


「とても似ているよ。改めてよろしく。僕は君の同期の岬桜夜。楽しくゲームしようね」


「!、はい!よろしくお願いします、兄様!」


「ぶっ!?」


 なんて言ったの!?やはり、この子、ラクシュさんと同類だな!?


「え?姉様が兄と言ってたので兄様ですよ?」


 さも当然かのように言うエレナさん。理屈になってないよ...


「わかった。好きにして良いよ。ただ、君のお姉さんにも言ったけど、2人の時だけね。よろしく、エレナさん」


「よろしくお願いします!」


 そして、さっきから気になってたことを聞いてみる。


「マネージャーさんはなんとお呼びすればいいですか?」


「まみーじゃーさんです!」


 エレナさんにそう言われる。さっきも言ってたな、それ。なんかお母さんっぽく聞こえるんだけど...


“まみ”ージャーさん、ということだろうか?


「......もうそれでいいです...。それにしても、お早いですね」


「黒かったので」


「あぁ......」


 めっちゃ納得されて哀れまれた。暗黒世界ブラック企業では弱みを見せたら終わりだからなあ。仕方ない。


「後25分くらいで皆さんが揃いますので、それまでお待ちください」



 ◇────◇



 集合15分前。例の会議室に到着する。扉の前には私、日々谷まながいた。


 ドアノブの手をかけ会議室に入ろうとする直前、部屋の中から話し声が聞こえたので手を引っ込める。


「このゲーム、おすすめですよ!」


「へぇ〜、どんなゲームなの?」


 片方はさくらんせんせーだが、もう1人は知らない。余計に入れなくなった。


 誰だろ...?もしかして、せんせーの好きな人?...いや、ないな。声質が子供っぽいそれだもんね。せんせーがやばい人ロリコンさんなら間違いなくそうだろうけど。


「絶対いつかコラボでやりましょうね!」


「わかったから、さっきから全部のゲームでそれ言ってるよ?全部やる気なの?」


「もちろん!」


 なんだ、5期生じゃん。じゃあ入ってもいっか。私も5期生だし。


「おはよーせんせー」


 ドアを開けて中に入る。


「!?」


「あ、おはよう、日々谷さん。」


「おはよー。その子だーれ?」


「子供じゃ...高校生だったね、彼女が4人目の5期生、赤坂さんだよ」


「よ、よろしくお願いします。赤坂エレナと言います」


 知らない声の主は銀髪の少し背の低い女の子だった。他にはスーツの女性もいる。この人は誰だろ。


「よろしくー。私は日々谷まなだよ。エレちゃんって呼んでもいい?」


「あ、はい。いいですよ。よろしくお願いします、まなさん」


「どうして僕は兄なんだろうか」


 せんせーが何かぼそっと言ったけど聞こえなかった。


 さておき。ゆなちゃんがきたら改めてみんなでお話ししようかな。ついでにせんせーの好きな人探しとかもしようかな



 ◇────◇



 日々谷さんがきてから少し悪寒がするが、気のせいだろう。


 エレナさんもまなさんと仲良くできてそうで何よりだった。



 そしてその5分ほど後に塩見さんが到着したので、マネージャーさんとの顔合わせの予定は10分早めに始まることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る