第5話 マネージャーさんと顔合わせ&エレナさんの挨拶

 本社ビル内のとある会議室。ここには5期生関係者が集まっていた。


「では改めまして、私、5期生マネージャーをつとめさせていただきます、宮野まみと申しますよろしくお願いします」


「私は日々谷まなだよ、よろしくお願いします。......宮野マネのことまみーじゃーさんって呼んでもいい?」


「「!?」」


 僕とまみーじゃー...もとい、宮野さんは揃って息を呑む。何故だ。あとエレナさんはドヤ顔するな。


「......いいですよ、それで......はぁ...」


 僕は宮野さん、と呼ぶことにしよう。......エレナさんの認識外で。


「じゃあ私もそう呼ばせてもらう。私は塩見由奈。よろしく」


 そして僕の番、と言われたのでさっきもしたが一応自己紹介をしておく。


「みなさんご存知でしょうが、岬桜夜です。よろしくお願いします」


 ◇


「では、今後の予定を詰めていこうと思います。今現在、絵師さんとモデラーさんが命を削とてもがんばって3Dモデルを作ってくれています。おそらく2月ごろには出来上がるでしょう」


 早っ......おかしいでしょそれ?黒い気配は...ないな。うん。正当に評価されてそう。くそっ、ブラック時代にこんなに理解のある上司はいなかった...


「それまでに5期生として何か番組であったりコーナーであったりを作りましょう。2月からはとても忙しくなります。できるだけ形にできるようにしましょう」


 なるほどね...今日は少なくとも誰と何をしようかとか、大まかな案だけでも決めるか。


 話終わった宮野マネは、何かが描かれている紙を4枚取り出した。


「こちらは現時点で決まっている...というよりもう最終決定したんですが、5期生のアバターサンプルとなります。参考にどうぞ」


 その紙には、私服を着た家庭的なお姉さん、真宮まなこと日々谷まなさん、フォーマルな白いスーツを着た幼女...背の低い少女、八坂カレンこと赤坂エレナさん、メガネをかけている純文学系ばかり呼んでそうな少女、ソルディナさんこと塩見由奈さん、そしてポリゴンやプログラムコードを身の回りに浮かべた白衣を着た男性、夜桜美咲こと僕がいた。


「おお〜、はかせ...いや、みさきょーじゅ、かな」


 ......もう慣れた。美咲と教授を繋げただなんて言われなくてもわかってしまう自分がどうかしてると思う。


「いいアイデア思いついた!5期生全員コラボの時に“みさきょーじゅのけんきゅーしつ”って名前でやるってのはどう!?」


 何がいいアイデアだ。教授なのは確定してるじゃないか...


「いいねそれ」「いいですね!」


 感性バグってるだろう...


「でもやっぱり全員コラボの時じゃなくて夜桜さんとのコラボでその番組にすればいいのでは?」


 と、塩見さん。


「そうするにしてももう1人は固定メンバーが欲しいところですね」


 と、宮野マネ。確かに、ひとりぼっちの配信で研究室とかなんとか言ってもねえ...


「わ、私やりたいです!」


 そう言って名乗り出たのはエレナさん。


「ではそのお二人で“みさきょーじゅのけんきゅーしつ”をやってもらいましょうか」


 番組について決まったことに対して嬉しい反面、もう少し...いやかなりだが、名前がどうにかならなかったのか残念でしょうがなかった。名付けた本人が番組にいないことも忘れていない。


 ちなみに残りの2人は“まなゆな雑談部屋”という名前で番組を作っていた。めっちゃまともな名前だった。許せん。


 後から気づいたが、この2人でコラボすると研究どころじゃなくゲームばっかりしそうだった。


 ◇


 あれからエレナさんと番組について1時間ほど話し合い、大まかな方針が決まった。それは僕がゲームやVRコンテンツなどをプログラム研究したものをエレナさんにプレイ実験してもらう、というものだった。これなら研究室というコンセプトを崩さずに済むと思う。


 なおこのアイデアを知った日々谷さん諸悪の根源は「よくそんなに上手くアイデア出せたね...」と若干引き気味だった。あんたのせいでしょうが。


 彼女らは名前のままである雑談や相談をメインとした番組だった。15分もかからず概要がまとまっていたのに対して僕は許せない。


「では、この辺りで今日は終わりにしましょうか。上に話を通してきます。次に集まってもらうのは来週の同じ曜日です。先輩ライバーと顔合わせしてもらうので朝9時にきてください」


「「「わかりました」」」「うえっ...起きれるかなあ」


 文句は日々谷さん。起きれるでしょ...


「では、本日はお疲れ様でした」


「「「「おつかれさまでした」」」」


 こうして5期生全員+マネージャーさん顔合わせは終わったのだった。

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