前話2 面接を受けにきたら幼馴染と遭遇した
VTuberになるために採用面接に応募した。面接は3日後の13:30からの予定である。それまでにできるだけ情報収集することにした。
まず、5期生募集、と言うことなので4期生までの人数を調べてみる。いずれも3人から5人のようだ。なので今回もそれくらい募集されると見るべきだろう。
前回の募集時の応募人数はおよそ80名。それで採用されたのが3人なので、倍率はおよそ27倍だろうか。狭すぎる門である。門ですらないかもしれない。
当然というべきか、採用された人たちの情報はほとんど出なかった。身バレを防ぐためだろう。なのでどのような人が採用されやすいかどうかはわからない。だが、それぞれすでに配信されているVTuberの動画を見て本人を推測する限り、他の会社でも当たり前だが協調性がない、他人を見下すような人はダメだろう。
おそらく配信するにあたって何かテーマは必要だと思うので、採用面接では必要ないと思われるが、一応決めておく。FPS系のゲームを中心としたゲーム全般の実況をしようと思っている。プログラムも得意である。
そうやって情報収集しているうちに、採用面接当日になった。
◇
とあるビル前。ここの3階が採用面接の会場である。
現在時刻は12:50。面接まで30分以上あるので、ビル内にあるカフェで時間を潰すことにした。
中に入るとすぐ左手にあるカフェに入るとそこには面接待ちの人だろうか、平日昼間だとは思えないほど人がいた。それでも空席はあるので、コーヒーを購入したのちにそこを目指す。
その途中で、懐かしい、本当に懐かしい顔を見つけたので話しかけた。
「こんにちは。本宮さん、久しぶり。僕のこと覚えてる?」
急に話しかけられた女性は一瞬固まってこちらを見るが、すぐに正体を思い出したのか、すぐに表情を緩ませる。
「久しぶり、岬くん。もちろん覚えてるよ」
岬、とは僕の名前である。彼女もここにいるということは採用面接を受けにきたのだろうか?
「ところで、岬くんは何しにここに来たの?」
「僕はここのVTuber採用面接を受けにきた」
そう返答すると彼女の瞳に僅かに動揺が浮かぶ。ここの社員とかなんだろうか?
「そう、なんだね。応援してるよ。受かるといいな」
そう言った本宮さんはコーヒーを飲み終えると席を立ち上がった。
「さて、私はこれでいくね。ここで働いてるから」
そう言って彼女は立ち去った。
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面接5分前になったので、面接会場である第3会議室に向かう。その途中、おそらく面接を受けにきていたであろう人々とすれ違った。
彼ら彼女らを抑えてVTuberになってやるという意気込みと共に会議室の前に到着する。
ノックする。
「どうぞ、入ってください」
「失礼致します」
面接が始まった。
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