前話 VTuberになることにした
僕は就職に失敗した。新卒で入社したゲームプログラム会社が
僕が入社したところは、労基?そんなものはない!とばかりに残業、残業の嵐で新入社員を
こうやって騙された新卒たちが潰されていく光景もかの会社だけでなく他の会社にもたくさんあるのだろう。
何が“アット”ホームな職場だ。バッドかデッドじゃねえか。
そこで僕は1年も耐え切ることができずに、過労で倒れてしまった。それも帰宅途中の駅のホームでの出来事だったので、危うくホームに転落してしまうところだったようで、大騒ぎになった。
まあそのおかげでかの会社の労働基準法違反とその他不正の数々がわんさかと、まるで
中学生の時から僕は、ゲーム関係の仕事について世の中のゲーム好きの人々の役に立ちたいと言う夢を持っていた。
だけど、その夢を黒く塗りつぶされてしまった今、果たして僕は何をしたかったのか、そしてこれからどうしたらいいのか、何もわからなかった。
とりあえずお金がないと生きることができないので、時給も比較的高めのカラオケでバイトをしている。
そして親にはこのことを報告していない。会社がなくなった時は心配してくれて電話をかけてきてくれたが、適当に誤魔化してしまった。親に大学卒業後たった4ヶ月で無職になった情けない僕は知られたくなかったからだ。
今は10月。会社がなくなったのが8月なのでもうアルバイターを2ヶ月続けていることになる。早くこの生活を変えないともう一生このままだ、と頭の中ではわかっているが、またあのような会社の入社してしまうこともあるかもしれないので、怖くて行動していない。
しかしもしかしたら何かの運命で人生が変わるかもしれない、と夢物語のようなことを考えつつ、自分の冷静な部分がそんなことはあり得ないだろう、といつも現実に引き戻していた。
少なくとも、この時はそう思っていた。
◇
11月半ば。何気なしにいつもは見ないTwetterを漁っていると、ある一つの告知に目が留まった。それは割と有名なVTuberの
それを見て僕は、そういえば自分が高校生の時にデビューしたゲーム実況VTuberの動画をよく見ていたことを思い出す。その時がこれまでの人生の中で1番楽しい時期だった。
そこでふと思う。自分の社会に出てからの“目的”はこの前までいた会社がホワイトだったとしても達成できたものなのか、作るだけではダメなのではないか、と。
違う。ゲームの楽しみを皆に伝えたい、というのが自分の本当にやりたかった目標であると思った。VTuber、というものがやっぱり適していたのだろう。それを見ていた頃はゲームがとても楽しかった。
自分の目標が分かってからの彼の行動は速い。早速VTuberになるために、かの会社に面接を申し込むのであった。
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