プロローグ パート2

突然、光が走った。


「なっ……!」


まるで当然のように、暗黒の通路が一気に明るく照らされ、ろうそくの炎のように燃え上がった。


一つ、二つ、三つ。


三つの火球が炸裂した。


その熱が少女の顔に押し寄せた。


「もう追いつかれたのか!」


彼女は右足をほんのわずかに横に滑らせ、その後、力強く後ろに跳んだ。


火球がダンジョンの粗い岩壁にぶつかって、彼女を遠くへと弾き飛ばした。少女は何とかその衝撃を全身で止めた。


焦げた苔と湿気が煙と混じり、彼女の嗅覚を襲った。彼女は服の袖で鼻を覆った。


「どうしてこんなに早く追いつけたのじゃ……?確かに、置き去りにしたはずじゃったのに……なぜじゃ?」少女は呟いた。


「姫様、油断なさらぬように!」


キロコの声が震えながらも、彼女の腰の下で浮遊し、地面に近づいていた。


「分かっておる……!」


少女は赤い球を袋にしまいながら、目を左右に動かし、敵を探した。


彼女がいた場所には、明らかに焦げた跡が残っており、炎が燃え続けていた。冷たい汗が額に流れ、増していく不安に、首筋の毛が逆立った。


「姫様、上です!」とキロコが叫んだ。


白く輝く鋭い刃が、煙の雲を真っ二つに裂いた。


「見つけたぜ!」


どこからともなく、屈強な戦士が現れ、彼の武器を床に叩きつけた。すぐに、さらに広がる炎が周囲を飲み込んだ。


「くっ!」


少女は何とか避けた。



---


素早い動きで、男は剣を構えたまま突進し、彼女に襲いかかった。


少女は残りの力を振り絞って身をかわし、剣が彼女の頭すれすれを通過し、髪の先端が切り落とされた。彼女は後退し、何とか踏みとどまった。


「……無様なことじゃ……」


彼女は眉をひそめ、冷たい震えが走るのを感じた。

「わらわはこんなにも無力なのか……ずっと弱き存在じゃったのか?」彼女は、悔しさに打ちひしがれていた。


彼女はこの感覚を知っていた。


恐怖。


そして、その男は、二メートル近い大柄な体で、カタナを肩に担いで立っていた。


彼はまるで侍のような黒い鎧を身にまとい、その鉄の板には、討ち取った怪物の骨が飾られていた。


男は火を見つめながら冷笑し、魔力の残り火で炎が燃え広がるのを楽しんでいた。


男は符を振り回した。


「こいつの符がこんなに強いとはな。使い道がありそうだ。」


符は数秒で灰になった。


「さてと……」男は身を正し、再び剣を構えた。


「おい、俺から逃げられると思ったか……小娘が?」


男は冷笑を浮かべ、少女とキロコを睨んだ。


「なぜここまで我らを包囲できた? 」


キロコは困惑を隠せなかった。


「簡単なことだ。」


男は親指で自分の頭を指差しながら言った。


「俺様はな、ダンジョンの構造も罠も隠し通路も、全部頭に叩き込んだんだよ。最初はちょっと期待してたが、このダンジョン、大したことねぇな。全然予想通りだ。」男は笑った。


その言葉に、少女は拳を握りしめた。

炎が周囲で燃え盛り、瓦礫が積み上がっていた。


「わらわのせいじゃ……すべてこの混乱、わらわの仲間の死、こいつらが好き勝手にしたのも、わらわが無能だったからじゃ。すべてわらわのせいじゃ!」


「姫様……」キロコは、主の悔しさがあふれ出すのを感じた。


「さてと……」


男は再び剣を頭上に掲げ、少女にその刃を向けた。


「……もう鬼ごっこは終わりだぜ。そうだろ?ダンジョンマスターよ……」


その男が放つ威圧感は、他の追随を許さなかった。

この相手に、どうにもならない無力さを感じ、仲間が命を落としていくのを見守るしかない無力感が、彼女を蝕んでいた。


彼女はこの感覚を知っていた。


「……卑怯なやつ!これがダンジョンハンターのやり方か!」


「知るか!」男は答えた。


その時、少女……いや、ダンジョンの主にして、その核を抱える者、魔族の姫君イクナは、再びその男を睨みつけた。彼女は後退し、心の底から湧き上がる恐怖に立ち向かいながら、立ち上がった。


だが、彼女には他に選択肢はなかった。彼女は生きたいと強く思い、姿勢を正した。


「キロコ、頼むぞ。」彼女は宣言した。


「承知いたしました。」


主の決意に応え、キロコはしっかりと頷いた。


そして、ダンジョンハンターの口から出た言葉は、まるで鐘の音のように響いた。


それは、戦いの始まりを告げるものだった。


「さあ、始めようか!」


そして再び、戦いが始まった。


だが、なぜこのようなことが起こったのか?


これを理解するためには、三日前に遡らなければならない。


その時、イクナはまだ何も気にせず、平穏な日々を過ごしていた。あの少年とその一味が現れる前に……。


―――――――――――――――――――――――


 作品フォロー、いいね♡心から感謝いたします。

少し長めの導入となりましたが、必要な部分でした。


次回は第1章となります。


どうぞよろしくお願いします!。(^o^)/

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