第5話
フィリップ・ロスという作家に、「すばらしいアメリカ野球」という作品があって、確か買っていたと思うが、内容全く覚えていないので、さっき調べてみたら、かなりユニークな現代小説だった。
架空の第三リーグがあって、その球団のひとつのマンディーズというのが主役?なのだが、とんでもないポンコツ球団で、選手はダメダメのクズ野郎?ばかり。中にひとりだけ名バッターがいる…というようなストーリー。で、筒井康隆氏がこの作家を高く買っていて、それらしい言葉遊びとか先鋭的な風刺とかが過剰な言語表現で綴られている…まあ、今読み直したらハマれそうである。
名作らしく、日本にもパロディの「すばらしき日本野球」というのがあったりするそうです。野球とあまり関係のない社会の風刺として?例えば「トマソン物体」ということを尾辻克彦という人が言ったり、広岡達郎氏のモデルの「監督」という小説があったり、「江夏の21球」というスポーツ小説があったり、「君は長嶋を見たか」なんてのもあったし、江本孟紀さんが「百倍プロ野球を楽しむ方法」という本を出したり、いしいひさいちさんの「がんばれ!タブチくん」が人気を博したり、…ほかのスポーツにはこういうポップカルチャーぽい?不思議な広がり方はあんまりなくて、これはあまりにも身近な、人口に膾炙しすぎているような、特殊な社会的な地位を、プロ野球というものが占めているが故と思う。
江川選手の巨人入団問題も、そのころはすさまじいような社会現象になった。集団ヒステリーか?というような、今でいう「炎上」が、巻き起こって、なんというかいまだに江川氏は絶対監督を引き受けないし、多少トラウマを引きずっているような感じもある。
週刊誌の漫画とかがプロ野球をネタにするのはつまり、もっとも最大公約数に受けやすい、わかりやすい話題としてセレクトされてしまうのだと思う。が、これはひと昔もふた昔も前の話で、今の4コマとかがどうなってるかは全然知らないが、野球が昔のように定番のトピックになっていないのは確かだろう。だいたいテレビでほとんど中継しないので、世間一般そうでしょうが?どの球団にどんな選手がいるかもあいまいなのです。
テレビに限らないが、メディアの多極化というかチャンネルとか増えて、興味が細分化、専門化して、”マス”と限らないものが増加したのも、プロ野球のみが王様でなくなってきた要因かと思う。ボクも、文学とかは好きだったとしても、昔は小説サイトもブログもなくて、原稿を活字にするにはハードルが高くて、そういう手間ゆえに読書をするだけで満足せざるを得ませんでした。こういう事情が変わってきて、で、練習したり読んでもらったりが手軽にできるので、だいぶんそういう恩恵をこうむることで、生活とか人間関係とか様々なことが変容した感じです。
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