第三十五話
「つぇぇぇぇぇ!」
蒼月は女性プレイヤーの動きを見て、驚嘆する。
弾丸の軌道を予測し、避けられないものを咄嗟に判断して、持っていた刀で斬って見せたのだ。
もしもこの後戦うことになったら自分はどのようにして戦うのかを一瞬考えたが、今は目の前に敵に集中する。
「俺も負けてらんねぇ!」
先程閃光を放った際
閃光は光を一点に集めて、集めた光を一気に解放したら起こる現象だった。
それなら光を一点に集めて、解放せずに攻撃として放てばどうなるのだろう。
予想が正しければおそらくとんでもない攻撃になるだろう。
「いっけぇぇぇ!」
蒼月の周りにふわふわと浮かんだ光球は電撃よりも早い速度で、触れたものを焦がしながら一直線に敵の方に放たれる。
電撃よりも早い光球を簡単に避けられるはずもない。
光球は無抵抗なプレイヤーの胴体に当たり、触れた部分の防具は熱で溶けて火傷を残す。
「痛ぇぇぇ」
不幸なことにプレイヤーは痛覚設定を0にしていなかったようだ。
痛みに悶えてる間に、先程と同じ大きさの光球ではなくライフルの実包程度の大きさの光弾がプレイヤーを襲い、消滅する。
「光球は大きさを変えて、さっきくらいの大きさにして何度も放ったほうが強そうだな。制御が大変なのが欠点だけど」
蒼月はその感覚に身を任せてその場から咄嗟に距離を取ると、先程まで蒼月が居た場所に銃弾の嵐が起こる。
銃弾が飛んできた方向に適当に光弾で弾幕を張る。
嫌な感覚はピタリと止み、銃撃も止んだ。
光弾が誰かに当たったかはわからないが、とりあえず牽制は出来たようだ。
数秒後、ガサガサっと草木を揺らし、女性プレイヤーが現れる。
「先程ので全てだ」
女性プレイヤーは剣を構えて、蒼月への警戒を解かない。
「マジか。俺、助太刀しなくても一人で倒せたんじゃねぇか?」
蒼月は戦う意志は無いと両手を上げる。
「いや、正直厳しかった。閃光のおかげで戦況が変わったと言ってもいいだろう。助太刀感謝する」
女性は蒼月に戦う意志が無いと分かったので剣を納め、頭を下げる。
「そうか、少しでも役立ったなら良かった。それにしてもすげぇな剣で銃弾弾いてなかったか?」
「あぁ、私の超能力
「おう!俺の超能力は
女性プレイヤーが自分から超能力を開示してきたので、蒼月も自身の超能力を言わないのは違うと思い開示する。
「ふむ、
「そうだな。ただ、何するにしても威力が低すぎて、格下の
「なるほどな。器用貧乏な超能力なのだな」
女性プレイヤーは何かを感じ取ったのか、後方に意識を向ける。
「そろそろここを離れるとしよう。派手に暴れすぎたようだ。助太刀本当に助かった。この感謝は忘れない。もしも次会うことがあれば正々堂々と戦おう。では!」
「おう!またな!」
蒼月の返事を聞いて女性プレイヤーは頷く。
その後、女性は
蒼月は女性プレイヤーと反対の方角へ駆け出す。
右上の生存者を確認すると、502人すぐに501人となり500人となったその時、運営からアナウンスが入る。
アナウンスが流れ始めたので蒼月は草むらに身を隠し、アナウンスに耳を傾ける。
生存者が500人となりました。
この時点から戦闘エリアの縮小を行います。
戦闘エリア外にいた場合HPが減っていきますのでご注意ください。
「戦闘エリア縮小、マジか!マップとか見たらどこが最終地点とか分かるのか?」
UIを操作して、マップを開くと縮小後の戦闘エリアに円がつけられていた。
「なるほどな、この円で囲まれているところが次の戦闘エリアっぽいな」
円に囲まれているのは広大な森と大きな建物。
それを囲むように作られた池?だろうか。
「うわー、建物だけでもかなり広いな。これ1階だけじゃなくて2階とかあるならかなり厄介だな。それに池と森か。障害物がかなりあって咄嗟に銃撃を受けたら
ここで考えられる戦略は二つ。
先手必勝で建物の中に陣取り、近くに敵を寄せ付けない方法。
エリア縮小のギリギリに到着して、集まっている人を一掃する。
蒼月にはおそらくどちらも難しいだろうが後者の方が厳しいだろう。
一掃は出来ない。
どちらを選ぶにしても蒼月には厳しい戦いになることは間違いない。
「ならどっちの方が楽しそうか」
考えるまでもなかった。
蒼月が選んだのは最速で向かって来た人を各個撃破していく。
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