第三十四話

燃え盛る森を抜けたところで周囲の状況を確認し、蒼月は一息つく。

UIの右上に表示されている生存者の数は992人と1000人を切っていた。


「最後に見た時から半分になってるな。ここからどうするか。芋るか?」

腕を組んでどうするかを考える。


「そういえば光操作フォトンキネシスってどういうことが出来るんだ?あいつ最後何かしようとしてたけど、倒したから結局何がしたかったのかわからん」

蒼月はUIを操作しステータス画面を開いて光操作フォトンキネシスの詳細を確認する。


光操作フォトンキネシス

光を操ることが出来る。


「いや、説明少なっ!これだけ!?」

もう少し詳細な情報が出ないかUIの光操作フォトンキネシスのをタッチするが何も反応しない。


「何が出来るかとか流石に書いてくれてないか・・・。破裂炎球ブラストボールみたいなのなら単純で良いんだけどなー」

ステータス画面を閉じて、試しに光操作フォトンキネシスを使用してみようとするが何が出来るか不明なので、全く何も起こらない。


「想像は知識の範疇を超えないってか。システムの補助とかないのかよぉ!」

いつもなら思いっきり叫んでいるが、イベント中なのを思い出し控えめに呟く。


「でも名前的には光を操れるんだろ?光ってことは」

とりあえず発光する玉が出ないか試すと、発光する球体が現れた。


「んー、攻撃にはならなさそうだけど、これはこれで便利か。はぁ、このイベント終わったらもっと光について勉強しないとな」

蒼月は立ち上がり、場所を移動する。


少し移動したところで銃撃の音が聞こえる。

付近で誰かが戦っているようだ。


「発砲音が聞こえるな交戦中か」

蒼月は音がする方へ向かい、様子を伺うと30名位のプレイヤーが集まっていた。


「まーた、チーミングか」

蒼月は呆れながら標的になっている人物を確認すると、かなりの速度で動き回る真っ黒な髪の女性プレイヤーがいた。


「もしかして狙われてるのは一人なのか?」

30対1なら多勢に無勢だ。

自分が助太刀に行ったところで勝てるかはわからない。


ここで蒼月に閃きが起こる。


「そういえば、さっき模倣コピーした光操作フォトンキネシス使えるかもな。まぁ、失敗しても女の子助けてゲームオーバーになるならカッコいいか」

女性プレイヤーを助ける為に蒼月は立ち上がり一番近くにいたプレイヤーに電撃を当てる。

電撃は当たると付近のプレイヤーに連鎖し、プレイヤーの場所を蒼月に教える。


「オッケー、そこらへんだな!」

蒼月は破裂炎球ブラストボールを発現させて、付近のプレイヤーに放つ。


精神感応テレパス模倣コピーしました。


誰かが精神感応テレパスを使用して蒼月が来たことを知らせたのだろう。

女性プレイヤーから狙いを蒼月の方へ変えて、銃撃を始めるプレイヤーが現れる。

先程チーミングしてたプレイヤーよりも練度が高い。

やられるのをただ見ているだけのプレイヤーなどはおらず、蒼月を狙うプレイヤーと女性プレイヤーを狙うプレイヤーに即座に分かれて対処してくる。


「おぉ!連携がすごいな!」

蒼月は風操作エアロキネシスを使用して、自身に風を纏う。

そして近くにあった岩を念動力サイコキネシスで適当に浮かせて、付近にばら撒く。


自動装填オートリロード模倣コピーしました。


岩への対応もかなり適切でかつ迅速だ。

だが岩に対応している隙に女性プレイヤーの方へ近づき、精神感応テレパスで言葉を送る。


(今から高出力の光を出して、こいつらの目眩しをするからカウント0になるタイミングで対応してくれ!)


女性プレイヤーは蒼月からの言葉に疑心を抱きつつも蒼月が精神感応テレパスでカウントを始める。


(3・2・1・0)


女性プレイヤーは何かを感じ取ったのか、一瞬だけ目を瞑る。


危険察知デンジャービジョン模倣コピーしました。


蒼月が光操作フォトンキネシスを使用し、100万カルデラ以上の閃光を放つ。


「ぎゃあああああ」

「うぎゃああ」

光の発生源の近くにいたプレイヤーはあまりの眩しさに目を塞ぐ。


「ハハハ!室内じゃないけど眩しいには変わらねぇだろ!光操作フォトンキネシス最高じゃねぇか!」

目眩しを食らい視界が悪くなっているプレイヤーに蒼月は破裂炎球ブラストボールを撃ちこむ。


女性プレイヤーも蒼月の動きを見て、蒼月が狙っていない方向に居るプレイヤーの方へ向かう。

腰に携えていた鞘から剣を抜き、急所を確実に狙う。


「おぉ!めちゃ早いな!それに剣捌きも半端ねぇな!」

蒼月は女性プレイヤーの走る速度と剣の腕に感心する。

おそらく走る速さはAGIに振っているのだろう。


「俺も負けてらんねぇ!」

蒼月が負けじと走り出そうとした時、何故だかそっちの方に走り出すと良くない気がした。

この変な感覚に逆らわず、蒼月が動きを止めるとその方向に目眩しされたプレイヤーが適当に撃った弾丸が飛んでくる。


「おいおい、マジかよ!危険察知デンジャービジョンって自動発動かよ!」

どうやらこの良くないと感じる感覚が危険察知デンジャービジョンで自動発動していたみたいだ。

蒼月の言葉に女性プレイヤーが蒼月の方を一瞬だけ視線を移すが、目眩しされている間に数を減らすためにすぐに戦闘を再開する。


だが、すでに数秒経った。

何人かが目眩しから回復していた。


アイアンサイトを覗き女性プレイヤーを狙い、銃撃をする。

女性プレイヤーは危険察知デンジャービジョンで銃撃が来ることを察知して、素早い動きで躱し体に当たりそうな弾丸は剣で弾く。


「はぁ!?剣で銃弾切った!?」

これには銃撃していたプレイヤーも慌てて、弾倉が空になるまで撃ち尽くす。

それでも女性プレイヤーには弾丸1発も届いてはいなかった。

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