第6話 ゲームキャラクター育成
「えっと…うん、たぶんそう。この前テストの招待は受けたけど、どのゲーム会社が作ったかは、まだ分からないんだ。」
秋人はどうしても言えなかった…ここが実際の異世界だということを。
「そうなんだ。でも別にいいよ!Aki、早くさ、戦闘システムがどんな感じか、テストしてみよう!」
幸いにも、雪乃はもう待ちきれない様子で、この現実みたいなVRMMOで戦闘を体験したくて仕方がないようだ。
「もちろん。ところでYuki、初期職業は何を選んだの?」
『勇者』には6つの初期職業が用意されている。
初期職業は6つだけど、レベルや条件を満たせば、転職の幅は無限に広がるんだ。
例えば、剣士は基本から順に剣聖、さらには剣神へと成長できるけど、特定の条件を満たせば、複数の武器を使いこなす武器マスターにもなれる。
それに、魔法を駆使して戦う魔法剣士にもなれるし、特定のクエストで魔剣を手に入れれば、隠し職業のデーモン剣士にも覚醒できる。
とにかく、俺は『勇者』にめちゃくちゃ膨大な転職システムを作り込んだんだ。
プレイヤーは、ゲームを進めながら自分だけの特別な職業を見つけられる。
「もちろん剣士だよ!そのうち
そう言いながら、雪乃は手に持った剣を鞘に収め、かっこよく居合抜きの構えを取った。
そう、秋人の幼馴染である雪乃は、筋金入りの居合抜きマニアなのだ。
彼女にとって、戦闘の美学は、すべて刀を鞘に収め、次の瞬間に一閃して敵を斬る、その瞬間に集約されている。
だから、彼女がVRMMOで使っているキャラクター名は、いつも「一心拔刀」なのだ。
「じゃあ、Yukiは『勇者』で“抜刀”をテーマにしたキャラBuildを組んでみたら?」と秋人は言った。
(Build、つまりCharacter Buildとは、プレイヤーが特定の戦闘スタイルに基づいてキャラをカスタマイズし、他のプレイヤーとは違う遊び方を作り出すこと。Diabloシリーズなどでよく見られる。)
「えっ!?『勇者』って、そんな風に特定のスキルやアクションに特化してキャラを育てられるの?」
雪乃は秋人の言葉を聞いて、一気に興奮し始めた。
『神域』では、特定の戦闘スタイルに特化したキャラBuildができなかったからだ。
雪乃が『神域』で使っている職業「ダークナイト」では、居合抜きはスキルツリーの一部に過ぎなかった。
どれだけ「居合抜き」にこだわってキャラを育てても、結局はダークナイトの他のスキルも習得する必要があった。
「もちろんできるよ。この『勇者』は、プレイヤーが『自分だけの戦闘スタイル』、さらには『他のプレイヤーとは全く違う戦い方』を見つけることを推奨してるんだ。」
それこそが、秋人がこのゲームを作った理由でもある。
「それ、最高じゃん!Aki、今日一日中このゲームでレベル上げ付き合ってよ!寝るのもなしだから!」
雪乃の戦闘狂としての本性が、この瞬間、完全に顔を出した。
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