三十一話 神殺しは迷宮の中で 其の弍
巨大岩石に追われながら
既に第二階層に到着しているが彼の体力は尽きる寸前であった。
(一か八か! やるしかない!)
バサラはそう考えると
ボゴンと音を立て、出来た穴は部屋の壁でもあったのか暗闇が広がる場所へと繋がっていた。そこに飛び込む以外に答えは無く、バサラは自分の体を部屋へと投げ込んだ。
巨大岩石は一人でに転がり落ちて行くとバサラは何とか自分の身の安全が確保されたことに安堵した。
しかし、そんなことは束の間、暗闇の部屋から突然、バサラ目掛けて岩石が飛んでくると彼は
「今度は何だい!?」
大声を上げると暗闇の部屋は唐突に燈が灯り、そこには岩で出来た巨大な兵士が姿を現した。その正体は
バサラは
部屋への闖入者が一人。
黄色い着物に身を包み、真っ黒なボサボサ髪を白い紐で結っており、腰には見知らぬ武器が差されている。顔には右目、デコ、鼻に巨大な切り傷がありながらそれらはかつて強者から受けた名誉とし、一切隠す事ない。
グルグルと螺旋を描かれている目を輝せながら少女は
踏み台になったバサラは「ぐえ」と声を出すも少女は止まる事なく、土人形の首を断つ。
「首断ちごめん!」
声は申し訳なさそうな雰囲気などは一切無く、ただただ、その首を落としたいがために放ったとしか言いようがないほど嬉しさに満ち溢れていた。
最も簡単に首を断たれ、
しかし、首を断たれたはずの
「首を断たてど死なぬか! カラカラカラカラ! 面白い! 面白いぞ! この世界! 日の本から去りとて日にちすら数えるのも面倒になったが! こうも! こうも! 死なぬ首が多い!」
少女が嬉々としている横で、バサラは彼女が何者であるか全く理解出来ずにいたが顔の傷と纏う氣で只者ではないことだけは確信した。
「君、何者だい?」
バサラが少女に声をかけると彼女は今、初めて彼を認識した。バサラが放つ氣を見て、普段は獲物を首としか認識しない彼女が人として彼を見た。
強者のみを人と認識する少女はバサラの問いに答えることはないが喋りかけられたが故に言葉を返した。
「なんという! なんという練られた氣! 名を名を名乗って欲しい! 強者の首は名を聞かねばならぬのだ!」
「え、えーと、カツラギ・バサラ。お嬢ちゃんは?」
「嬢ちゃん、そうか、そうだな。拙者の体はいくら鍛えても男児になれぬ未熟なモノだったな。だが、良い! それは今関係有らず! 拙者は
だが、既に
「邪魔だな、この首」
呟いた途端、バサラは
「
その一言を残し
(あの武器、技術、全部何なんだ? あんな細いのに刃溢れ一つ無いし)
動かなくなった
「バサラ殿!」
「ひゃ、ひゃい?!」
「それでは参りましょうか! 死・合・い!」
「はい?!」
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