二十九話 剣聖の憂鬱 其の陸
「ん、なら、決まりだな! 今日帰って来たのはそれを冒険者ギルドに持っていこうとしたんだが先にお前にやるよ!」
ジークフリートは読んでいた本を仕舞うと鞄に入れていた紙のようなものを取り出した。
バサラはそれが何かと思い軋む体をなんとか起こすとそこに記されていた文字を口ずさんだ。
「ラビュリン、トス?」
「そう! 俺が見つけた
笑顔でありながらサラッと死者が出ていることを伝えるジークフリートとは対照的にバサラは苦笑いをしていた。しかし、そんな彼らを置いておいて、その地図をマジマジとジータは眺めていると何かに気付いた。
「この
「危険だから最初は俺が最後まで踏破しちまおうと思ったんだが途中で
ジークフリートの言葉に呆れて、ジータはため息を吐きながら再び口を開いた。
「あなたが最後まで行けなかった
「そうかー? 踏破報酬で俺がなんでも一つ願いを叶えてやるって言ったら食いつくと思うぜ」
「今、なんでもと言いましたか?」
「おうさ、なんでもって言った」
なんでもと言う言葉にジータはニコリと笑みを浮かべると嬉しそうにバサラに喋りかけた。
「御師様、やるしかありませんよ」
「いや、でも、」
「さっきも言いましたがこの人は腐っても剣聖。最強と言われる
ジータが息巻く一方、突然、部屋のドアが開かれるとそこには彼女の部下であるラビがいた。走って来たのか息を切らしながらもジータに向けて情報を伝えようと声を上げた。
「ジータ様! リトル教の拠点が分かりました! 全ての四護聖に収集がかかっています! 至急、移動の準備を!」
ジータは露骨に嫌な顔をした。
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