十七話 初めては獣狩りですか? 其の捌
「アリス、あれは私達と同じ。やるなら本気でなければならない」
「あらそうなの。なら、本気でやろうかしら。我が運命は壊滅。求めるは終焉、目覚めるは破壊者。共鳴器・
黒髪の少女が告げるのは自身の運命であり、己の終着点。バサラは自身以外の壊滅の運命を持つ者と対峙することになる。
ラビットと呼ばれた人工物は主人の運命と共鳴し、腕が四本となると二本は普通の手の形をしているもののもう二本は剣と斧と変化した。脚部も馬のような形になっており、それはかつて自身が殺した人馬一体の神に姿が重なった。
その姿を見て、バサラは声を上げた。
「その姿、一体誰に教えてもらったんだい?」
「誰、ね。私は生まれた時から、ラビットと一緒だったし、この形が誰を模しているかなんて分からない。でも、あなたが嫌いな形ではあるのね」
そう一言添えるとラビットはバサラの目の前から姿を消した。そして、バサラに向かい、音速にも到達する速度で体当たりをする。
ぶつかる寸前にバサラはその目でラビットのことを捉えており、ギリギリでその一撃を防ぐも、吹き飛ばされるのには変わらなかった。
木にぶつかっては壊しを繰り返し、なんとか止まると目の前には疲れを知らない人工物が立っていた。
二本の腕でバサラの剣と打ち合い、もう二本は彼を捉えると同時に、手から光線を放つ。
(この感じ、この理不尽。正しく、あいつらにそっくり。誰が作ったのかさっぱりだが、こいつがもし王都に向かったりすれば、確実に死人が出る)
バサラは光線を弾くとそれは再び地面に逸らされ爆発した。砂埃が上がり、ラビットはバサラがどこに動くかを単眼で追おうとするも彼は砂埃の中、一直線で距離を詰めた。
氣を捉え、自身が握る武器の力を最大限に引き出すために、両手で剣を握りしめて、一気に得物を横に振るう。ラビットはその一撃が自身の体をこれまで一度も無いほどの損傷させるモノと計算し、四つの腕を盾にして防いだ。
ユースを一撃でのした剣撃は人工物にすら有効であり、盾にした四本の腕をガラクタに変える。四本の腕が地面に転がり、ラビットは攻撃手段を無くしていると少女は遠くからそれを眺めており、つまらなそうにしていた。
(この、えーと、一人と一体? いや、一個? なんて呼べばいいか分かんないや)
そんなことを考えながらバサラはアリスに喋りかけた。
「お嬢ちゃん、君たちは一体何者なんだ?」
アリスは自分にバサラが質問して来たことに気づくとラビットと呼ばれるそれに近づき、答えた。
「私はアリス。こっちはラビット。私はただ、壊滅を望む者。おじさんは?」
「え? え、えーと、カツラギ・バサラ」
物騒なことを言っているのを聞き取り危機感を上げようとするも、自分の名を聞かれ、咄嗟に答えてしまい、アリスはそれを聞き、少し微笑んだ。
「そう、じゃあ、バサラのおじさんって呼ぶね」
アリスは自身の髪をくるくると弄りながら、傷ついたラビットに近づいた。
「ラビット、腕大丈夫?」
「大丈夫。だけど、アリス。あの武器、あの剣は危険。いや、危険すぎます。アダマンタイト100%、それ正しく
「うん、何いってるか分かんないや。だけど、腕が壊れちゃどうしようもないね。今日はこれくらいにしとこうか」
アリスはそう言うとバサラにぺこりと頭を下げ、お辞儀をした。
「じゃあね、おじさん。また、どこかで会おう」
「え? あ、はい。バイバイって、待って待って! 逃がさないよ!」
バサラは急に帰ると言い出したアリスに呆気に取られるもすぐに彼らを追うもアリスはラビットに乗り、そのまま森の中に消えてしまった。
状況が理解できず何が起きているのかさっぱりわからないバサラは一先ず、村に被害がないかを確認すると魔獣の死体やらを一箇所に纏め、その場を後にした。
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