第3話 した事のない合成師。

「ゴブリンの討伐依頼受けてくれないかな?」

 二番目に寄った村の冒険者ギルドで受付をしていたおじさんにそんな話を持ちかけられた。


「え? モンスターの討伐ってした事無いんですけど」


 僕はここまで、採取と捕獲イベントしかして来なかった。

 理由はもちろん討伐出来るだけの戦闘力が無いから。


 ピクシーモスで痺れさせても、倒す前に復帰してしまいそうで怖くてやって来なかった。


「冒険者なんだから、ゴブリンくらい討伐出来ないとやっていけないよ」

「そういうものなんですか?」


「そういうもんだよ」

「うーん、じゃあ話だけでも聞いてみようかな」


「まぁ座りな」

 そう、促すと冒険者ギルドのおじさんは、おもむろに話し出した。


「最近この辺でやたらゴブリンが増えていてな、討伐依頼が常時受付の常駐依頼に変更になったくらいなんだ。

 ゴブリン一匹倒したら右耳を持ってきて貰えば、小銅貨一枚になる」

「……」


「何か言いたそうだな」

「安くないですか?」

 日本での感覚でいえば、小銅貨一枚は十円だ。


「まぁまぁ、数が多いからな、その代わりソルジャーやメイジなら小銀貨一枚になる」

「……」

 感覚的にいえば500円くらい。

 ソルジャーやメイジはゴブリンの上位種で十匹くらいの集団になると一匹くらい居るらしい。

「あ、いや、安いって言いたいのは分かるが増えすぎてどんどん価格が下がってしまってな、国からの請け負いでギルドがやってるから予算が決まってるんだが、全然増えねぇんだよ! それでもリーダーなら小金貨一枚になるぞ」

 感覚だと一万円。

 リーダーはかなり大きな集団のボスだ。


 僕の目がジト目になっていくのを自覚した。


「巣の場所は結構分かってるんだ、夜寝ている所を一網打尽にしてしまえば、充分稼げるって」

 このおじさんが、凄く胡散臭くなってきた。

 ゴブリンの価格が安くなりすぎて誰もしない物を僕に押しつけているだけに見えてきた。


「さすがに、この依頼はぁ……いや、待てよ……試しに受けてみます」

「おお! そうかそうか! これが巣の場所を書いた簡易地図だ! 何匹でも良いから狩ってきてくれ! 俺も上からなんやかや言われて辛くてな!」


「大物だけ持ってきて、安いゴブリン持ってこなくても大丈夫ですか?」

「大物を持ってきてくれるなら、安いのは持ってこなくても大丈夫だ! 頼むぞ!」


 ー夜の森の中ー

 貰った地図を頼りに一番近くのゴブリンの巣までやって来た。


 簡易な掘立て小屋のような物が乱立している。

 見張りはいないようだ。


 そうっと近づき小屋を覗く。

 中には二匹のゴブリンが居た。


 集中すると、シュッと消えて手元にゴブリンのカードが現れた。

「やっぱりそうだ!」


 合成は麻痺や気絶などの抵抗できない状態で可能になる。

 その状態に睡眠も含まれていた。


 小屋の中で奇数だった時は一体を残して、残りのカード化した奴らでトドメを刺す。


「あれ? 合成出来ない」

 よく見ると他のゴブリンとちょっと違う。

 メイジかソルジャーかな?


 他に同じような奴を探してピクシーモスで痺れさせる。

 それをゴブリンで運んで合成を試みた。


「よし! 合成出来た!」


 ゴブリンソルジャー UC

 特技 強撃(弱)


 やっぱり、上位種族だった。

 残りはあからさまに他と違う小屋だけだ。

 多分、あそこにはゴブリンリーダーが居る。


 リーダーって言うくらいだから、二体は居ないから合成は出来ない。

 本当の意味での戦闘が今から始まる。


 こちらの戦力は


 ピクシーモスのSRが二体。

 ゴブリンのRがニ体。

 ゴブリンのUCが三体。

 ゴブリンソルジャーのUCが一体。


 ハミングバードは使いたくない。

 歩きの旅にいて欲しいから、間違って死んじゃったとかシャレになんない。


 さすがに負けないよね?


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 長編も書いているので良ければ見てください!

 https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826


 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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