第16話 『楽園にて』 その1


 『どうぞ。』


 ウェイターさんは、まず、赤血探偵のために、席を引こうとした。


 すると、赤血探偵は、ぼくを指差したのである。


 『失礼いたしました。』


 ウェイターさんは、即座に謝罪した。


 それで、ぼくが、先に座ったのだった。


 『あ、あなた、メニューを。』


 と、当たり前みたいに、赤血探偵は、また、ウェイターさんに言った。


 『かしこまりました。』


 ウェイターさんは、あっさりと引き下がり、すぐに、分厚いメニューをふたセット持ってきた。


 『まあ、レストランだろうとは、思いました。ただし、想像通りならば……、まあ、メニューを読めればですが。………しかし、大概、設置場所の言語でのメニューがあるはずです。ほら、ありますよね。ただし、冷静にね。ほら、あそこに、さっきの団体さんがいますよ。』


 『はあ。む…………たしかに。』


 それは、しかし、冷静に眺めろと言う方が、無理があると言うべきであろう。


 現代やまいぬさんに、古典おおかみさんや、やまねこさんをミックスし、さらに、くまさんを足して、そこに、とらさんと、ライオンさんを輪切りにして加え、わにさんとサメさんのエッセンスで均等割りにして、さらに、ティラノサウルスさんで味付けしたような感じがしたのである。


 『みんな、そんな感じですな。しかし、ほら、人類型もいる。だから、目立ちはしないでしょう。』


 『あなたは、予想していた?』


 『まあね。しかし、おそらく、地球人類は、消費される側みたいですよね。メニュー見たら、分かりますよね。これは、いささか良くない状況みたいです。打開策を講じましょう。』

 

 

 【フルコース A】  


 前菜


  …………………… つづく



  









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る