第14話 『草原の真実』 その6
ぼくと赤血探偵は、見たのである。
虚無僧みたいな格好をした、10人ばかりの一団が、反対側の大きな窓側から歩いてくるのを。しかし、その一団は、床に足が付いていない。浮遊しているのだ。
『げっ。あれは、もしかしたら、まずいかな。隠れましょう。』
赤血探偵が、ぼくを、片隅に引っ張り込んだ。
こうした場合は、大概隠れるに適した場所があるものである。
『あちらからも、見えている?』
『ううん。わからないですが、まだ見つかってはいないみたいですね。あの連中は、周囲からは、見えていないと思われます。ほら、ガラスに影が映らなかったでしょう。しかし、足が浮いて見えるのが、やはり、異質なんだな。同じテクノロジーならばこうは見えないだろう。しかし、もし、オーバーテクなら、向こうからも見えている可能性はありますが、ちょっと分かりません。秘話機能がちゃんと働いているかもしれない。しかし、何故なんだろう。あの、被り物が怪しいな。』
『あの人たち、でかい牙がありますね。』
『んだ。あれは、人間ではないかもしれない。』
『人間でなければ、宇宙生命体?』
『まあ、そこまでは行かないかもしれませんが、宇宙生命体とのハーフかもしれない。』
宇宙生命体というのは、つまり宇宙人の意味である。
しかし、近年は、『宇宙人』という呼び方は、あまり宜しくないとのことから、『宇宙生命体』と呼ぶのが普通になっている。
つまり、『人間』ではないかもしれないからだ。
しかし、宇宙生命体が、地球にいると確認されたとは聴いてはいない。
『付けよう。そっと。』
この先は、単なる通路になっていた。
テレビの、『なんとかかんとかの殺人事件』とかでも、なぜか、尾行は、なかなか、ばれないものである。
ばれるようでは、尾行にはならない。
しかし、ぼくは、素人である。
まして、明らかに目立つシチュエーションであろう。
そこは、プロの探偵さんであるから、真似するしかない。
『まるで、迷いがない。ここをよく知っているようですな。』
しかし、こちらの会話が聴かれている様子もない。
ぼくは、おっかなびっくりであるが、赤血探偵は平気みたいだ。なにが起こっても構わない、という風情なのだ。この人の技術を信用するしかない。
一団は、どんどんと、なにもない通路を、奥に進んで行く。
『あそこで、突き当たりですね。』
その先には、もう、通路がない。
どうする?
すると、やはり、エレベーターみたいな扉がするりと開いた。
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