第12話 『草原の真実』 その4
博物館の近くの公園まで来て、赤血探偵が言った。
『これは、ぼくが作った、新型かくれ頭巾です。アルベリヒがむかしラインの黄金から作って使ったものより、はるかに高性能です。時代が違いますから。ほらね。』
『わっ。き、消えました。これは、軍部が欲しがるにちがいない。ぼろ儲けできますよ。』
『はははははははは、そんな気はありません。探偵にしか、使わない。オリジナル探偵グッズですよ。』
『はあ。あなたは、発明家ですか。』
『まあ、じつは、ぼくは、荒川放水博士の弟子なんですが、ちょっといざこざがあって、決別しました。』
『荒川博士って、オカルト博士の?』
『まあ、そうなんですが、あの人は、ほんとは、もっとすごい人なんですがねぇ、結局のところは、世の中が使い方を間違ったのです。そうしたひとは、たくさんありますよ。原爆の開発をした人たちとかも。今もいますよ。やがて、世界をほろぼすでしょうけど、それまでは、無くならない。たぶんですがねぇ。残念残念。ま、仕方がない。ぼくは、与したくはないのですねぇ。』
『はあ。良く分かります。』
『ありがとう。で、これが、あなたの分ですよ。』
赤血探偵は、もうひとつ、綾取りの化け物みたいな、むかし、母が被っていたみたいな、細工物を差し出したらしい。
それだけが、空中から、ぼやっと、姿を現したのである。
『まあ、あそこは、入場料は無料なんですがねぇ、サインを求められますが、これならば、いらないでしょう。』
『なんか、多少、罪悪感がありますが。』
『真実を知りたいのでしょう?』
『そうですね。』
ぼくは、頭巾を被った。
😖💥ズキ! ン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます