第7話 『第3の勇者さま』 1
なぜ、ひとは、スキャンダルが好きなのか?
答えは簡単。
人類は、スキャンダルを食べて生きるからである。
だから、互いにスキャンダルを作り合い、食べ合うのである。
これは、ぜひ、覚えていて頂きたい。
さて、第3の勇者さまは、なかなか、現れなかった。
それは、そうであろう。
第1の勇者さま、第2の勇者さまが短期間に相次いで、いなくなった。
政府は、監視を強化し、レストランの主も厳しく事情聴取されたうえ、さらにみっちりと指導された。
扉の鍵は、警察官でもある支配人に渡された。
とくに、関わったらしいとされた首相さまは、辞任に追い込まれた。
噂は、噂の領域を超えて歩き出したのである。わざわざ、ヒトクイ植物を観察になど行きたくもないし。
しかしだ、なんだかおかしいだろう?
そうなのだ。軍部がほっとくわけがないのである。
こんなものすごい武力は他にないだろうからである。
しかし、さすがの軍も、ちょっと手を出しにくかったらしい。
あまりに、目立つからである。
昔ならいざ知らず、いまは平和主義だから、簡単には、町を占領したりはできない。周辺諸国を刺激してはまずい。タイミングが大切である。
たとえば、伝染病を流行らせるやり方は、与党の在り方を崩壊させかねない。
現に首相は辞任したわけだし。
あるばん、ぼくに電話が掛かってきた。
『もしもし。あなた、第3の勇者さまになりませんか。報酬は、一億ドリム。保険付きよ。』
『いやです。ガチゃ。』
こんなアホな話に乗るわけがない。
しかし、いたのである。それが。
それは、町の孤独な教師さまだったのである。
人手不足で、毎日深夜まで働き、残業手当はほぼなし。
子供たちは、草原に入りたがる。
大人には無理だが、子供なら潜れる小さな穴だってある。
それは、転職したくもなる。
しかしながら、資金が必要である。
だから、彼は話に乗ったのである。
もちろん、そこは、用意周到な人であり、個人的にも様々な情報を集め、つなぎ合わせ、分析をした。
その結果、明らかな答えがひとつあった。
植物は、火に弱い。
しかし、火炎放射器を持ち込んだりは、普通はできないが、なんとそれも用意すると言う。また、セキュリティも解除できるようにする。補佐役も用意する。別の安全な入り口を確保するという。できすぎだが(🙇)、魅力はあった。
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