第6話 『第2の勇者さま』
第2の勇者さまは、まったく違うタイプだった。
古代タルレジャ教団の流れをひく、『新型タルレジャ教団』の巫女様である。
ただし、本家本元タルレジャ教団からは、非公認であったし、本舗さまは、タルレジャ王国との関係はないらしい。むしろ、あまり仲は良くなかったらしいが(そりゃそうだろう。)、王国の王女さまの大ファンだったみたいだ。それが、生き残っている理由であろう。
しかし、それはそれとして、この巫女さまは、超能力者であった。また、美人だったことも確からしい。
あれよあれよ、と言う間に、レストランの主をたぶらかして、草原に入ったのである。
それは、まだかなり、夜明け前だった。
月が妖しく輝く深夜だが、あたりは、わりあいに明るかった。
爽やかなそよ風が、草原に渡る。
『おお。月よ。私に力を与えてください。なぜ、彼は消えたのか? 知らねばならないから。居場所を示してください。』
すると、草原は、まるでその意思を知ったかのようにざわめき、小さな道を開けたのである。
第2の勇者さまは、つまり、巫女さまは、草原の深みに分け行った。
そうして、第1の勇者さまが横たわるのを発見したのである。
その身体は、草たちに覆われていて、すでに透明になりかけていた。
『なんということを。』
第2の勇者さまが、その脇に座り込んだ。
『この人は、禁則を破ったのか?』
第2の勇者さまが言った。
草たちが、また、ざわざわと言った。
『わたくしも、ともに、食べてくれるか?』
すると、草たちは、大合唱をしたのである。
『くさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさ〰️〰️〰️』
第2の勇者さまには、その意味が分かった。超能力者であったから。
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