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「は?」
しかし、彼女は何事も無かったかの様に其処いた。
「おはようございます。クリスティーヌさん」
昨日あんな事までされて尚、まだ居座れるの……?
アタシは思わず口を開いた。
「アンタ、なんで居るの……?」
「クリスティーヌさん?」
「昨日、あんな事されたのに何平気な顔して居座ってるのよ!!頭可笑しいんじゃないの!?」
怒鳴るアタシに彼女は何も言わずに黙って聞いていた。
アタシはお構い無しに彼女へ怒りをぶつける。
「今までだってそう!わざと転ばせたり、物を落として怪我させようとしたのに……なんでそんな平気な顔していられるのよ!?早く出て行きなさいよ!目障りなのよ!!」
彼女に思いの丈をぶつけると、彼女は静かに口を開く。
「クリスティーヌさん。前にも言いましたよね?」
「はぁ!?」
「私は貴女の母親だって……」
彼女はそう言って、アタシに近づき手を挙げた。
次の瞬間、パンッと乾いた音が響き渡り、アタシの頬が弾かれる。
「いった……なに、すんのよぉ!!」
彼女に掴みかかろうとした途端、彼女の手がアタシの背中に回された。
ギュッとアタシを抱き締める彼女は、静かにそれでいてはっきりと告げる。
「だから私は貴女を叱り、貴女を愛します」
「何言って……」
「寂しかったら弱音を吐いてもいいです。辛かったら当たり散らしても構わないから」
「ア、アタシは……」
「貴女にはもう、辛い思いをさせません」
「ッ……」
「だから、クリスティーヌ」
『貴女を置いては行きません』と、彼女は初めて笑って見せた。
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