FF8 ディスク4

 時間圧縮というややこしい概念は、終盤で(容量制限のため)多くの町に入れない理由付けとか、その一方でマップ自体は使い回すための苦肉の策のような気がする。アルティミシア城のストーリー的な位置づけは、それこそFF1の「過去のカオス神殿」みたいなものだろうから。要は、時間の彼方から現代へ干渉する存在であり、そのループを断ち切るのが主人公の最後の戦いということなのだろう。


 というわけでラストダンジョンである。ランダムエンカウントが完全に封じられるのがありがたい。大海のよどみのように見えないシンボルでも置かれたらどうしようかと思った。ボス戦ではアビリティ「自爆」が大活躍。これがあれば魔法やアイテムの解禁は後回しでもなんとかなる。


 各種ギミックでは、画廊が全くわからなかった(せいぜいアルファベット順くらいしか思いつかなかった。それはそうと「メカジキ」がお気に入りだ)。オルガンも、適当に「アイズ・オン・ミー」のサビを弾いてみたりしたがわからなかった(まさか全部鳴らすだけでいいとは!)。振り子はわからなかったが偶然突破。ノーヒントで挑んだ最終戦は、GFとドロー以外を解禁した状態で突入。


 FF6のケフカみたいにHPを1にするという、特殊技で反撃してくれと言わんばかりの行動。遠慮なく暴れまくることにする。ここぞというときのために温存しておいた英雄の薬(調べたら想像以上にレアアイテムだということに気づいた)で無敵に!


 グリーヴァに関しては、本編でもう少し掘り下げがあってもよかったのではないかな。スコールが最強の存在だと思っている(だからこそその姿を使った)という理由付けがいまいち弱い気がする。終盤の、失われていく記憶についてのセリフは大人がプレイしてこそ心に沁みる。


 オープニングで見た花畑のリノアはエンディングにつながっていたのか! 失われた過去の記憶との対面。リフレインされるリノアとの思い出はちょっとグロい。なぜか許されて釣りを楽しんでいるサイファー一行、墓参りをするラグナたち。そしてホームビデオ風(このあたりの人物の自然さとか手ブレの加減が絶賛されてるのを見た記憶がある)の楽しいムービー。最後はリノアとハグハグして大団円!


 ロードしてオメガウェポンに挑戦。2つしかない英雄の薬を、オートヘイストのついたスコールとアーヴァインに使う。途中で薬の効果が切れてしまったが、エンドオブハートでゴリ押しして勝利!


 *


 総評として。やはりロード時間をはじめとするテンポの悪さは厳しかった。早い段階で「エンカウントなし」が手に入るのが救いなのだが、このような配慮がない同時期の(同様の画面システムを用いた)RPGを今遊ぶのがいかに辛く感じるだろうかという余計な想像力が働いてしまう。


 ジャンクションはとにかく煩雑というか、必要な機能が複数のGFに分割しているのがややこしい。プレイヤーがカスタマイズして能力J系を一体に集中させるような工夫はできるとはいえ、それなら最初からある程度は統廃合してもよかったような気がする。たとえばジョブチェンジみたいな感覚で気軽に切り替えられれば印象は変わっただろうに。


 ストーリーは、今までのシリーズが触れてこなかった「少年少女の青春物語」に全力で取り組んだという印象。今までもたとえばFF3の主人公たちは「少年」ではあったが、それ以前にプレイヤーの分身である純粋な冒険者という面が強かった。自身のあり方や恋に悩む等身大の少年であることと、特殊技能を使いこなすエリート兵士であるという無茶なミスマッチを一つのゲームシナリオに落とし込むとこうなるのだろう。


 もっともストーリーにしてもシステムにしても、限られた期間(前作FF7から2年しか経っていない!)で、そのときにできる全力で作るというスピード感、荒削りさこそが当時のスクウェアゲームの魅力なのかも知れない。今のように無限に延期が許される(わけはないと思うが、90年代のゲームを知っているとあまりにも開発期間のペースが緩やかに感じられる)時代とは違う。


 当時のプレイヤーも、友達同士あるいはネット上であれこれ愚痴りつつも、なんだかんだで本作を楽しんでいたのだろうと思う。25年越しに、敢えて(リマスター版ではなく)PS版をプレイすることで、当時の空気の何分の一かであっても体験できたのは、私にとってもよい糧になったのではないかと思う。

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