十
「昔から皇帝陛下始め、皇族に仕えている家系の者です、少々おてんばな姉妹ですが、お役に立てるでしょう」
「ちょっとミハイロ、おてんばは余計でしょーぉ!」
「本当のことだろ」
「ミハイロってば、一言多いわ」
金髪の整った顔立ちをした男性は、ミハイロっていうみたい。
三人のやり取りから、親しい間柄なのが窺える。
だけど、今あたしが一番気になってるのは、二人の女性の容姿だ。
あたしの前に並んで立った二人を、交互に見比べる。
目を左右に、行ったり来たり。
だけどやっぱり、現実は変わらない。
「あ、あたし、目が変になったんでしょうか……同じ人が二人に見えます」
ゴシゴシと目を擦ってもう一度見ても、同じ背格好と顔が二つ。
猫みたいに目尻がキュンッて上がった瞳をパチパチさせる、驚き方まで一緒だった。
「やだーぁ、この方、お可愛らしい!」
「変ではありませんよ、むしろ正常です、私たちは双子ですし、その中でも特にそっくりだと言われているので」
あたしから向かって右側……雷華さんの方が声を上げて、身体をクネクネさせてる。
左側にいる雹華さんの方は、冷静に微笑みながら説明してくれた。
双子でも性格は違ったりするのかな。ユニでは双子は縁起が悪いからって片方は殺されちゃうから、大人になった双子を見たのは初めてだ。
「そ、そうなんですか……すごい、こんな綺麗な人が、二人……」
背が高くて手足も長くて綺麗。
思わず見入ってしまうと、雹華さんと雷華さんが顔を合わせて微笑んだ。
「やだーぁ、お上手ですね……ええと、お名前は?」
「ユニ族の方がいらっしゃるとはお聞きしていましたが、お名前は知らないんです」
皇帝様もそうだったけど、なんでわざわざ名前を聞くんだろう。
大事なのは治癒力があるユニ族ってだけで、一人の人間として、認識される必要なんてないのに。
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