第10話

誰も聞き取れないくらいの声。

私の悪態に誰も気づかない。



少しすっきりして、家に着いた。






ガチャ



金属音が響く。



玄関を開け、「ただいま」と言おうとした直後、




どたたたたたた!!



「おかえり~、真綾!!」



玄関先での抱擁。

(注意 これも『いつも通り』)




「しー兄、重い。」




少し長めのくせのある茶髪は艶やかで、



引き締まった筋肉質の体に、



上から下までカジュアルな服を纏う。




今をときめくアイドル『No name』の一人




―シグレ本人だ。

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