黄金色の稲穂15
田んぼに戻ると、カワズ殿たちが
「テンさんたちは来られんかったんか?」
と尋ねてきた。アサギは一瞬、心の中で小さな寂しさが広がるのを感じたが、それを悟られないように、精一杯の強気な声で返した。
「うん、でも大丈夫。また次も誘ってみるよ」
その言葉に、カワズ殿たちは「そんだな」と頷き、いつものように賑やかな笑い声を上げながら、花見の準備を続けていた。
夜になり、桜の花びらが風に舞う中、カワズ殿たちは「呑めや唄えや」と、花見の宴を楽しんでいた。
提灯の灯りが暖かく田んぼを照らし、お囃子の音が風に乗って響く。
笑い声や遠くから聞こえてくる楽しげな会話が、夜の空気に溶け込んでいた。
この瞬間が永遠に続くかのような心地よさが、あたりに広がっている。
やがて夜が更け、気づけば桜はすっかり散り、新緑の鮮やかな季節が訪れていた。花見に酔いつぶれたカワズ殿たちは、いつの間にか田んぼの縁にごろりと横になり、あちこちで気持ちよさそうに眠っていた。
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