第6話:遊星んちにお邪魔する遊月ちゃん。

「人間界に来たばかりでしょ、どうせ行くとこないんでしょ?」

「ホームレスにならないよう、お世話になるところはちゃんと確保してあります?」

「宿泊施設予約してます?」


「そんの来てみないと分かんないじゃない?」


「そうですよね・・・じゃ〜どうせ、神様関連でどこかの神社に間借りするつもりでしょ?

神社なんてダメダメ」

「いくとこないなら俺の家に来てください?」


「え〜遊星の家にですか?」


「遠慮しないでさ・・・どうぜ俺と母ちゃんしかいないから・・・」


「お母様がいらっしゃるなら安心かな」


「なに?俺一人だと安心できないんですか?」

「神に誓ってやらしいことなんかしませんから・・・」


「神に誓うような人は信用できないの」


「じゃ〜いいです・・・裏寂しい神社の境内で寝てください」

「俺んちに来れば、飲み物だってあるし、あったかいご飯もあるし、あったかい

布団で寝られるのにな」


「飲み物?・・あったかいご飯?あったかいお布団?・・・じゃ〜ちょこっと

遊星んちに、お邪魔しようかな・・・」


「そうしたほうがいいですって・・・遊月ちゃんみたいな可愛い子が神社の境内で

なんか寝てたら危険です」


「遊星の家のほうがよっぽど危険だったりして・・・あはは」


「笑えませんから」


遊星は適当でいいかげんだけど、遊月那姫は遊星の純粋でまっすぐなところが

嫌いじゃなかった。


「じゃ〜私を遊星の家に連れてって」


「よかった・・・飛び込んで自殺しようと思ってた電車に乗って帰ろう?

遊月ちゃん」


「私ひとりなら、一瞬で好きなところに行けちゃうのに・・・」


でもって遊星は遊月を連れて電車とバスに乗って自分の家に帰った。

ごく一般的注文住宅、中間層が住んでる家だった。


遊星は玄関を開けて遊月をエスコートした。


「ほら、ここ俺の家・・・入って」


「お邪魔します」


「遠慮しなくていからね、永久に俺んちにいてくれていいから」


「そんな図々しいことできないよ 」

「お母さんだって迷惑だって思うでしょ?」


「ああ〜実は母ちゃんはいないんだ・・・」


「どういうこと?」

「遊星、私にウソついたの?」


「俺一人だって言ったら、絶対来ないと思って・・・」


「ウソはダメだよ・・・下心があるからそんなウソつくんだよ」


「下心なんかないから・・・神様に・・・」


「誓わなくていい」


「エッチいことしようとしたら、町内全域に聞こえるくらいの声で叫ぶからね」


「わざわざ叫ばなくても消えたらいいでしょ?」

「だいいちそんなことしないよ、信じてよ」


「信じたのにウソつかれたんじゃない?」


「ごめん・・・謝るから・・・遊月ちゃんに嫌われたくないんだ」

「まじでなにもしないからね・・・神に・・・」


「誓ってばっかじゃない」


「遊星のご両親はどうしたの、別のところで暮らしてるの?」


「実は親父は単身赴任でドバイに行っちゃって、おふくろは親父がいないと

寂しいって言ってドバイまでおやじを追いかけて行っちゃったんだよ 」

「俺一人残してね」


つづく。



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