第5話:月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と契りを結ばん。
「それにしてもクラスの女子全員にフられるような男子の彼女なんて私が人様から
笑われちゃうよ」
「その時は俺も一緒に笑われますから・・・俺たち相思相愛一心同体でしょ」
「なに勝手なこと言ってるの」
「俺、何も嫌われるようなことしてないです、普通に生きてるだけです・・・」
「勉強は、まあイマイチだけど運動もまあダメだけど」
「でも漫画が好きでアニメが好きで美少女育成ゲームが好きで美少女フィギュアが好きで、緑黄色なんちゃらが好きで・・・。
「それだけ好きなものがあれば充分だよ」
「しょうがないね・・・じゃ〜まずはお友達から・・・それでいい?」
「いいです、それで充分です」
「で、遊月ちゃんに会いたくなったらどうやってご連絡すればいいんですか?」
「スマホとか持ってます?」
「スマホがなにか知りませんけど・・・」
「そうね・・・じゃ〜この勾玉、渡ししておくから」
そう言って
それはブルーに透き通った美しい勾玉だった。
「その勾玉、貸すだけですよ、大事なものだから落としたり無くしたりしないで
くださいね」
「分かりました・・・命に代えて守ります」
「また、そう言う大袈裟なことを普通に言うからクラスの女子から軽視される
んだよ」
「だってそのくらい大事な勾玉なんでしょ?」
「そうだけど・・・」
「私に会いたくなったら、その勾玉を握って呪文唱えるの」
「わ、分かりました・・・で、なんて唱えたらいいんですか?」
《月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と契りを結ばん》
「そうすれば、私が現れるから」
「ひとことでも間違えたら、私とは会えないよ」
「分かりました、メモしときます」
「じゃ〜ね・・・私、用事があるからもう行っちゃうからね・・・またね遊星」
「ああ、またね遊月ちゃん」
そう言うと遊月那姫は流星の前から一瞬でフッと消えた。
「うそ?消えた・・・普通の女子だって思ってなかったけど神の国から来た
ってのは本当だったんだ・・・でも、遊月ちゃん・・・め、めちゃ可愛い・・・・」
「家に帰ったらパンツ履き替えよう」
遊星は遊月のあまりの可愛さにおしっこをチビってしまっていた。
「あの可愛さに慣れないと毎回会うたびにチビってたらキリがないな」
「だけど、あの可愛さは俺が死ぬまで飽きないだろうし・・・」
「ああいいや・・・遊月ちゃんがいなくなるより我慢できるから・・・」
「そうか・・・呪文唱えたらいいのか?ちゃんと覚えとかないとな」
「なになに、契りって?・・・契りってエッチのことじゃないの?意味深な呪文
だよな」
《月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と契りを結ばん》
「って唱えたらよかったんだよな?・・・」
「呼びました?」
「おわ〜〜〜〜び、び、び、びっくりした」
「私を呼んだんでしょ?」
「いや、呪文試してみただけですけど・・・」
「あのね、面白半分に私を喚ぶのやめてくれる?」
「勾玉、返してもらうよ」
「呼び出すなら、せめて一日置きくらいにしてくれるとありがたいんだけど」
「そんなに頻繁に喚びだされるくらいなら遊星のそばにいたほうマシです」
「じゃ〜ずっとそばにいてよ」
「俺から離れたら呪文唱えますよ」
「しょうがない人・・・ずっと一緒にいたら勾玉で私を喚び出す意味ないでしょ」
「人間界に来たばかりでしょ、どうせ行くとこないんでしょ?」
「ホームレスにならないよう、お世話になるところはちゃんと確保してあります?」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます