第四章 大巫女の秘技
4―1
到達者の修行が始まって三日が経過した。
「お祖父様……いい加減、大巫女の秘技について教えてくださりませんか」
「……」
密室の中、シラとアルバが対峙する。
「脅威について商人達を通して聞いているはずです。私だって村を思う気持ちは同じ。巫女として認められたい私心でなく、あの日のお父様のようにただ生まれ育ったこの場所を守りたいだけなのです」
「……」
アルバは密室の闇と同化したかのように一言も発しない。それはバーラの口数とも異なる、まるで最初から言葉を持たないかのような異質な無言だった。
「……」
「……」
寄り合いへの参加資格を持たないシラが、秘密会議の土俵に上がれるだけでも一つの成果と言えるのだが……祖父と重鎮たちはシラの言葉に耳を傾けるばかりで回答は無い。
「……」
草木も眠る丑三つ時。密室には蝋燭の灯りが灯っているにも関わらず、夜の闇は無言の圧に押されて屋内に帷を下ろしてゆく。狭まる視界の中、シラの意識は次第に内側へ、過去を振り返ってゆく――
「到達者にとって重要なのは頂獣との対話。これに尽きるわ」
森の中、カーリアは颯爽と相棒グラウの首元に飛び乗り四肢を預ける。
「意外かもしれないけど、頂獣を制御しようと思うなら密着したほうが効率がいいの」
言いながらカーリアの四肢はズブズブと灰色の体毛の中へ埋まってゆく。その勢いたるや頂獣の材質が金属である事を忘れさせるほどだ。
「オォ――」
次は自分達の番だと、ハクオウもシラに向けて身を屈める。
「……」
シラはカーリアの言葉を理屈では正しいと判断していた。紋章から伸びる精神の綱引きは
互いの距離が近ければ近いほど、人間側に有利なことは経験済みである。
「オォ?」
何を躊躇っている――一向に跨ろうとしないシラにハクオウは目を丸くし、先を促すようさらに姿勢をかがめた。
「……」
(……密着)
頂獣に触れてはならない――今更ではあるもの、シラはハクオウという頂獣に触れることに抵抗があった。
(私って、保守的だったかしら……)
伝統に息苦しさを覚えていたにもかかわらず、規範は意外にも自身の感情に抑制をかけていた事実にシラは戸惑っていた。
(一つ一つ……)
右手で背の槍に触れつつ、シラは左手をハクオウに向けて伸ばす。
(掟を破ってゆく……)
歩みの中でシラは同盟や帝国が生まれた理由を直感した。番った経緯はどうであれ、共に在るだけで到達者は人が設けた戒めから外れざるを得ないのだ。
「――」
「オォ……」
首元に跨り、両の手をおそるおそる羽毛へと潜らせてゆく。背中の槍は硬く冷たいにも関わらず、シラが触れる生体金属はヤギの毛並み連想させるほどに柔らかい。
「……!」
「オォ!」
シラの四肢が埋もれるのと同時に番いは立ち上がり空を見上げた。
「……」
シラとハクオウの精神は暴走した時と同様に、互いの中に半身を溶け込ませ一体化していた。
そして……直接触れ合っていることが効果を出しているのか互いの精神は反発することなく温もりの中で均衡を保っている。
(これが……到達者の視界……)
シラはハクオウの目を通して世界を見ていた。人の身では体感できない高さにシラの野生が昂る一方で「ハクオウにとっては当たり前の景色」という意識も併存する。
「どうだ。安定したか?」
地上からジョンがシラに呼びかける。
「……」
シラは返事がわりに自身の右腕を振り上げる感覚でハクオウの右翼を持ち上げる。
「よし、感覚の共有は安定しているみたいだな」
ジョンは番いの周囲を二周、三周と注意深く観察してゆく。
「……ふむ。初回にしては上出来だ。じゃあ、あとはカーリア、任せたぞ」
「ちょっと! 稽古をつけてくれるんじゃないんですか⁉︎」
「つけるさ、カーリアが――」
ジョンが言い切る前にシラの視界が灰色に染まる。
「⁉︎っ――」
右翼を盾に防御姿勢を取るシラ。衝撃は思っていたよりも軽かったものの……――
「課題は一つ。力を使わずにカーリアを倒してみろ」
そう言い残すとジョンはサーベルの背に跨り森の中へ消えてしまった。
「ごめんね。言葉が足りなくて。ジョンは帝国の侵入に備えて監視役を買って出てくれたの。入り組んだ森では能力を十全に使えるジョンたちのほうが生き残りやすいから」
でも――
「⁉︎――」
灰色の番いはいつの間にかシラの背後に佇み獰猛な牙を剥き出しにしている。
「力こそ使えないけど、それ以外なら私たちの息はピッタリなの♪」
「……」
カーリアの言葉に誇張は無かった。灰色の鋼鉄は物音一つ立てずに森を縦横無尽に駆け巡り、シラたちを翻弄し続ける――接近する瞬間だけは、風圧を感知して回避をとれるものの……ハクオウの足では四つ足の速度に追いつけるはずもなく、この三日間の勝負は全て引き分けに終わった――
「……飛べないのだろう」
「――‼︎」
祖父の言葉にシラの意識が現実へ引き戻される。
「……」
三日の間にシラはハクオウの動作をおおむね制御できるようになった。気分転換に試した神通力は言うに及ばず。嵐からそよ風に至るまで大小様々な風を両腕と口から生み出しては自在に操り、その威力と精度は暴走事のそれよりも研ぎ澄まされているとカーリアからお墨付きを受けたほどである。
ところが……――
「ハクオウ……」
「オォ……?」
飛行だけは一転してうまくいかない。
ハクオウは頑なに両翼の力を使っての飛翔を拒否している。
シラは神通力を応用し、生み出した風に乗っての滑空には成功した。しかし滑空の高度と飛距離は翼の躍動に遠く及ばず、お世辞にも戦闘に耐えうるものでは無い。
「こんな事ってあるんですか?」
修行三日目の終わりに、シラはとうとう番いの限界をカーリアへ吐露した。
「……難しい問題ね」
カーリアはグラウから降りると顎に手を当てて考え始める。
「オオォォン!」
グラウはまるで甘える子犬のように、番いの足元へ鼻先を押し付け始めた。
「人と頂獣の関係性は番いの数だけあると言っていいわ。
例えば……私が力を使えないのはグラウが私のことを『相棒』よりも先に『所有物』だと思っているから。今でこそ同盟の調査員として働けているけど……紋章が出来た当初はグラウに振り回されて人付き合いなんてまるで出来なかった。同盟に見つけてもらって、力の扱いを教わらなかったら今でも穴倉の中で弄ばれていたと思う」
話の中でカーリアは相棒に一切目線を向けず、大腿部に這う舌にも無視を決め込む。
「触れ合い、意識を溶かし、お互いが剥き出しになって対話を重ねてゆく。気が合えば力の全てが使えるし、そうでなければ中途半端なまま長い時間を過ごすことになる。
一つ言えることがあるとすればこれは一朝一夕では解決しない問題よ。根気強くお互いの関係性を築いていく必要があるわ」
「……」
残り時間は四日。それまでに第一目標であるカーリア・グラウの番いを撃破することができるのだろうか……――
「全てはシロガネさまの中にある」
シラの焦りを知って尚、アルバは大巫女の秘技を明かすつもりはないらしい。
「……」
再び密室は沈黙に包まれる。しかし暗闇は時に言葉よりも雄弁にシラに語りかける。
『弱音を吐くためだけに会議を招集したのか?』
『社殿を破壊した勢いはどこへやら』
『掟破りの力も大したことはないな』
「……っ」
全ては心の弱さが見せる幻聴だと分かっていても、今のシラにそれを受け止める余裕は無い。
シラの沈黙を確認すると会議は解散となった。シラは秘密会議という絶好の機会ですら大巫女の秘技、その片鱗にすら触れることが出来なかったのだった……――
「……」
「オォ……」
そうして迎えた四日目の朝、シラはカシムの牧場の中でだらしなく四肢を伸ばしていた。
「おやおやシラさま、お疲れですだね」
早朝にもかかわらず養父は数匹の子ヤギを引き連れ、生き生きとした眼差しでシラと家族を交互に見る。
「……カシムさん」
「行き詰まった時はあれ、飲みましょう」
言いながらカシムは杯を傾ける仕草を見せる。
「……はい」
カシムの家に通う中でシラもヤギの世話を一通り身につけていた。二人は慣れた動作でヤギたちの誘導を始め、朝餉前の一杯を目指す。
「カシムさんはすごいですよね」
「どうしたんだぁいきなり。褒めてもヤギ乳しか出ないだよ」
「いや、だってほら、ヤギって人懐っこいですけど……言葉を喋らないじゃないですか。それなのに――」
ヤギは好奇心の塊のような生き物で、ひとたび野に放てば心の赴くまま疲れ果てるまで駆けることをやめない。
「ベエエ!」
「べへへ!」
それにもかかわらず、子ヤギたちはカシムの周りを離れず飛び跳ね、そして親愛の情を頭突きで表していた。
「おうおうめんこい」
どれだけ小突かれようとも笑顔は崩れず歩みも揚々。シラはそんなカシムの様子こそ人と獣の究極の絆なのではないかと羨んだ。
「カシムさんはハクオウのことも『ヤギみたいだ』って……私は紋章で繋がっているはずなのにハクオウのことが全然わからないんです……」
「別にオラもシロガネさまのことはもちろん、ヤギたちの言葉がわかるわけじゃねえですけどねぇ……」
カシムは徐に歩みを止めると、胸元に飛び込んできた一頭の子ヤギをそのまま抱き抱えた。
「シラさまはこの子の名前がわかりますか?」
「ミナちゃん」
「この子は?――」
カシムは次々と子ヤギを抱き抱えてはシラに名前を問うてゆく。シラにとっても慣れ親しんだ子供達、問いに答えるのは朝飯前だった。
「さすがシラさま。でも、他の山羊飼いは答えられないでしょうし、俺も他人のヤギの名前までは把握してません。名前はもちろん癖や好物となるとどうしようもねえ。ただ――」
カシムは腰を落としながら子ヤギを降ろす。子ヤギ達は農夫の手が空いたのを見ると「もう一回。もう一回と」ねだるように前足をあげて飛び跳ねる。
「一つ言えるとしたら、山羊飼いの仕事はヤギの声に耳を傾けることですだ。オラのオヤジも、ジイさんも、そのまたご先祖さま達もそうやってヤギと暮らしてきただ。ヤギとシロガネさまを同じように扱うのは罰当たりかもしれねえけんど……」
カシムはシラに後ろを向くように促した。
「――」
オォ――
陽光を背にハクオウはシラをジッと見つめている。出会ってから絶える事なく注がれるそれはシラにとって今更意識する事も無い、日常の一部になっている。
「ハクオウさまを見た時は驚いたけど……オラはあの目を悪いものだとは思わなかったです。人を襲う悪神ではなく、シラさまを守る良いカミだと思いました。あの『子を見守る親』の顔はヤギにも、人にも見られる、信じていいものだと思いましただ。
動物と付き合うコツはひたすら向き合う事です。言葉は違えど鳴き声に、表情に、ちょっとした仕草に言いたいことが詰まっていますだ」
「オォ……」
「……」
『到達者にとって重要なのは頂獣との対話。これに尽きるわ』
『全てはシロガネさまの中にある』
(ハクオウと……向き合う……)
思えばシラが窮地に追い込まれるたびにハクオウは追い風を送り、少女の心を奮い立たせてきた。その結果暴走に至ったとしても、その根は番いを想うハクオウの純心が応えたものだ。
対するシラは自身の肉体や環境の変化に振り回されるばかりで、番いへ、ハクオウへ向き合うことを意識していたとはいえない――
(シロガネさまが村を、巫女守ることを当たり前だと、思い込んでいた……)
今のシラはニバ村の巫女であるのと同時に、掟破りの到達者である。
(ハクオウはシロガネさまだけど、歴代の巫女の中でも私だけを選んだガルダ――)
オォ――
「――」
吹きつける風を左手で受け止め、少女は解を得たと番いの瞳を真っ直ぐに覗き込んだ。
「カシムさんありがとうございます。私――」
「朝ごはんまでには戻ってきてくださいよ。飲んでほしいヤギ乳いっぱいあるんですから」
「はい!」
シラはハクオウに跨りつつカシムに応えた。
「オォ――!」
カシムに見送られながら番いは両翼を伸ばし、高台目がけて二本足で駆け出した。
「――!」
「オオォォ――!!!」
番いは混じり合う意識の中で、これまでの出会いを振り返ってゆく。
(森の中の特訓。同盟との遭遇と戦闘――)
助走の中で両翼は風を掴み、白銀の肉体は徐々に浮かび上がる。
(材木を運ぶために往復した時間。その原因、寄り合いでの暴走――)
「オオォォ――!!!」
村の中、ハクオウはシラを守るために常に側を離れずにいた。掟の中にある限り、到達者の身が安全であるとは限らない。たとえ巫女であろうと猜疑や畏れの眼差しに晒される。
「オオォォ――!!!」
森の中、大地を抉って巣を作り、雛鳥を包むようにまどろんでいたのもシラの心身を万全に整えるため。
「「――!!!」」
ハクオウがシラを求めた理由はただ一つ。「遠くへと羽ばたきたい」という一心だ。
(ハクオウ……あなたは……)
「オォ……」
上昇の中でシラは溢れ出すハクオウの想いを受け止めてゆく。
羽休めのため、ニバ村を目指して羽ばたいてきた日々。勢いあまり、時期はずれの通りがけに見かけた銀髪の少女。高台で真摯に祈る姿と込められた願い。風を掴み、外へと羽ばたきたいという想い――
「「――」」
ハクオウにとって飛行とは戦闘の手段のみにあらず。己が求めるものへいち早く辿り着くため、理想を叶えるための力強い運動であった。
「……――」
「オォ――」
一体となっての初飛行は、覚醒直後の嵐の舞よりも高く、早く、そして輝いていた。
雲を越え朝日に身を晒すと白銀の体躯は次第に山吹色の熱を帯びる。尾翼からは虹色の軌跡が流れ出し、村を周回する頃には七色の祝福を奉じていた。
「これがあなたの望んだ空なのね!」
「オォ‼︎」
シラの願いはハクオウの体躯によって叶えられ、ハクオウもまたシラの願いをその身に宿すことで何倍もの力を発揮する。
身も心も溶け合い、番いは今一つの存在として空を征く――
「今の私たちなら!――」
「オォ!――」
(どこへだっていける!)
番いの力は一体化によって増大する。シラは神通力の風を利用してのさらなる飛翔を求め、その身をより深く白銀の中へと潜り込ませてゆく。
カツ……カツ……――
「――……?」
ところが……体はあと一息というところで何かに阻まれてしまう。
カチカチカチカチ――
「⁉︎」
反発し響く音。その出所はシラが肌身離さず背負い歩く銀の槍であった。
「……」
シラは深く潜り込んだ左腕を引きずり出し、槍を引き寄せるべく背後へと伸ばしていった。
カチカチカチカチ――
「……!」
指先に触れる槍はシラが潜り込もうする深部のみならず、頂獣の羽毛の毛先に至るまでの全てに敏感に反発していた。槍は頂獣に対し水と油のように交わらず、襷によって繋がれたシラを外界へ留まらせていたのだ。
(あとちょっとなのに……)
普段のシラであれば異常を前に一度立ち止まり、事態の把握に努めただろう――
「――」
しかしながら、飛行の勢いで気が大きくなっていた事が少女の持ち味を損なわせていた。
密着こそ力の源泉。シラはさらなる飛翔に向けて不快な音を止めるべく、反発を続ける槍を強引に引き寄せる事にした。
キイイィィィ――――――
「「!??」」
利き手ゆえに伸ばした左手。そこに刻まれた紋章もまたハクオウの血肉である。
槍は番いの結節点に呼応するように音を極大まで高めてゆき――
(――――――――――)
「ゴアッ――――――」
音は肉体と――紋章を通して番いの精神までも深く苛んでゆく。これには生身のシラはもちろん、白銀細工の頂獣も耐えきれない。
「「あああああっ!!!」」
側頭部から万力のごとく押しつけられる音と痛み。槍と紋章が引き起こした負の共鳴は番いから空への渇望を奪い、翼はもつれ落下を始める。
「オォ!」
「……」
「ゴオォォォ!!!」
「……」
ハクオウの呼びかけに番いは応えない。混じり合っていた精神も槍の干渉によって徐々に分たれようとしている。
「…………オォ――」
シラ――
「…………‼︎」
騒々しさに押しつぶされそうになる中、心地よいこだまがシラの精神を震わせる。
シラ――
「……っ」
全身が悲鳴をあげているにもかかわらず、槍は紋章に吸い付くように離れない。ハクオウから離れれば共鳴現象はおさまるのだろうが――番いから飛び降りたら最後、翼を持たぬシラを待つのは死のみである。
シラ――
(!――)
番いが生き残るのに必要なのは風。共鳴でもつれた翼をほどくだけの風を起こせれば頭部からの激突を防ぐことができる。
シラはハクオウの中に残った己を奮い立たせ、声に向けて全力で手を伸ばす。
(この声は――)
――シラ!
「‼――」
声と共に繋がりが戻る――
「オオォォ!!!」
ハクオウはすぐさま風を起こし、あわや墜落というところで着陸を果たした。
「……」
「オ……オォ……」
流石の頂獣も高高度から無様に腹這いで着陸した衝撃に耐えきれず、休眠状態に入る。
「……」
一体化しての初飛行、頂獣に反発する銀の槍、そして紋章との共鳴現象……ほんの数分の間に遭遇した数々の未知にシラの思考は到底追いつかず、生き残った達成感も人ごとのようにぼんやりとしたものだった。
「……――」
それでも……呆けた中で左腕だけは硬く握りしめられている。
(……私は――)
ハクオウの中で伸ばした左腕――繋がりが戻ったあの瞬間、シラはその手に握り返すような温もりを覚えた。
「……ハクオウ」
「……」
共鳴現象が止んだにもかかわらず、紋章はシラを番へ導かない。どうやらハクオウの眠りはシラですら立ち入ることができないほど深いらしい。
「――ッ」
シラを誘った声と温もり――シラはここぞというときに風に乗って届く父の声を幻聴だと思っていた。頂獣という未知の領域に踏み込む勇気を得るために、記憶の中の父の声を都合よく利用した自己暗示だと、そう思っていた。
「……ハクオウ……なのよね?」
シラは恐る恐る左手を持ち上げる。
「でも……そんな……」
己の記憶力が誤っていればどれほど楽になれるだろう――シラが左手に感じているのはハクオウが羽毛に蓄えた日輪のごとき熱ではなく、なつかしさを覚える人肌の熱だった。
(……お父様)
ハクオウが導く先には必ず父の姿がある。しかしながら、頂獣の中から父そのものが手を引いてくるなど一体誰が予想できようか。
オォ――
ハクオウの風は傷ついた番いを包むよう舞い続けている。
朝日が登る青々とした空の下、シラは二つの温もりに囚われたまま祈りの義務を怠った。
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