クズが天使と呼ばれた日々

女月満月(めつき まんつき)

第1話

「変になっちゃうよ」と繰り返したのでスパートをかける。

かわいい声をあげながら絞めつけてくる。

満たされた俺はビュッとはきだす。


「あっ」と慌てて起きた。


情けねぇ 58歳にもなって夢精かよ…

とりあえずパンツ取り替えるかと思いタンスの方に目を向ける。


「ん?どこだ、ここ?」


そこは見覚えのない部屋だったが点滴をされているところを見ると病室だろう。

しかし全然身に覚えがない。

昨日は自宅にいた。最後の記憶はエロ動画を見て、してぇなと思ってたところまで。


「どうなってるんだ?」と辺りを見回すが考えてもわからない。

とりあえず、カペカペになるまえに洗うか…と洗面台へ行く。

パンツを脱いでそこにあったタオルで下腹部を拭く。

「ん?あれっ?腹回りの肉がない…息子もでかくなってるし」


洗面台の鏡を見ると知らない顔だ。

「写真で見た親父の若い時の感じに似てるな」


再び脳内はどうなってるんだ?で埋め尽くされる。

そこへ「失礼します」と女性が入ってきた。

ナース服を着た20代半ばくらいの人が入ってきた。


「起きられたのですね」と笑顔を向けた後、突然悲鳴をあげた。

「な、なんで下半身裸なんですか?」

「あっごめん。パンツ汚しちゃってさ」

「わ、私が洗いますよ。貸してください」(何、この匂い、クラクラしちゃう)

「そう、ありがとうね」

お言葉に甘えて病院服のズボンを穿いてベッドに腰掛ける。


暇なのでナースさんを眺める。

丸みがあってなかなか美味しそうな体つきだ。

やらしてくれないかな?嫌々まずはこの状況がわからないから情報収集だな。


「お待たせしました。シャワー室に干しておきました。あれは何の汚れですか?」

「あー夢精したんだ」

「夢精?」

「精子だよ」

「えっ?  えっ?  えー! もったいない!もったいないー!お種様がー」


あまりの大声に顔をしかめてしまった。


コンコンとノックがされて

「大きい声が聞こえましたがどうされましたか?」と、白衣の女性が入ってきた。

「あっ先生。大きい声を出してしまい申し訳ありませんでした。少年に接するドキドキで動揺してしまいました」


「それはわかります。検温は済ませたのですか」

「すみません。まだです」

「検温のご協力とその後少しお話をよろしいですか?」

「いいよ。俺も聞きたいことあるし」


「失礼します。お口で計るタイプですのでお口を開けて頂けますか」

「あーん」


目の前にいる女医さんに目を向ける。

なかなか艶っぽい人だな。まだ2人しか見てないがこの病院は採用基準にルックスが考慮されるのか?


「ありがとうございます。検温終了です」


「話の前に今は西暦何年か教えてくれる?」

「はい、今は22××年です。それが何かございましたか?」

どうやら俺はタイムスリップしてしまったらしい。


「実は俺、記憶がないみたいだ。どうしてここに居るのかすらわからない」

「私が出勤したときに入口前に倒れていたんです。ここは病院ですし男性科もあるので運ばさせていただきました」とナースさん。


男性科?なんだそれ?

「外傷もなく呼吸なども安定してましたので、目覚めるまでと思い入院して頂きました。それでも2日目覚めなかったのですよ」と女医さん。


ここで俺の腹が鳴った。

「この後検査とかあるの?」

「はい、状況がわからないので検査をお願いしたいのです。」

「じゃ、飯は食べられない?」

「通常ですとそうお願いしたいところですが、男性様の都合を優先するようにしていますのでお食事のご用意をさせていただきます。何が食べたいですか?」

「選べるの?だったら肉と米を多めに食べたい」

「かしこまりました。ではご用意させて戴きます」ナースに目配せするとナースは病室を出ていく。


「では、あらためてご挨拶させて戴きます。私、この山花病院の男性科 内科の医師 山花静香です。宜しくお願い致します。ご記憶が無いということですが何か覚えていることはございますか?」


「いや、なにも覚えてない」本当は覚えているが、これはリセットだと思い自分で設定しようと思った。

「それでは食後に男性管理局に来てもらってもよろしいですか?」

男性管理局?また知らないワードだ。


「男性管理局って何?」

「男性は守られべき対象ですので、お住いのセキュリティや護衛官の管理、男性様の体調管理等男性様がストレスをあまり感じないように生活全般を整える部署となります」

「わかった。食後ね」

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クズが天使と呼ばれた日々 女月満月(めつき まんつき) @yutaka1201

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