第3話 調子に乗ったら痛い目をみる
「どうしたもんかな〜」
昨日俺と戸宮は色々あって友達にもどったのだが、女友達ってどう関わればいいんだっけ。
何を隠そう今は気楽な気持ちではあるが、昨日まで振られたトラウマで人を好きになることが怖くなり、女性と関わることがなくなっていたため女友達とはどう関わればいいかがまったくわからない。
どうしても思いつかず、頭を抱えてしまう。
そういえば、昨日戸宮の笑顔見た時のドキッとした気持ち、あれは昔戸宮といた時と同じ──
「喰らえ!」
「痛っ!」
考え事をしていた俺に、突然現れた戸宮が勢いよくチョップをしてきた。
「よっ渓介!元気してる?」
「たった今お前のせいで元気じゃなくなったわ」
昨日の戸宮はどちらかと言えば暗い感じだったのに、友達に戻った途端昔と同じように明るくなっていた。
「よかったら学校まで一緒に歩かない?」
「全然いいよ、ちょうど暇だったし」
俺は快く了承し、戸宮の隣を歩き始める。
にしても戸宮、昨日は色々あったのに昔と同じように関われるなんてすごいな、俺なら少しの間は引きずってしまいそうだ。
「な、なな、なあ、今日よかったらだけどどど、学食いいいっしょにいかないかかか?」
「……ん?」
戸宮を改めてよく見てみると、顔はわかりやすく赤くなっており、横並びの間隔もやけに広い。
「スッ……」
赤くなってる戸宮をからかいたくなり、俺は戸宮との感覚を狭くしてみる。
「ススス……」
戸宮は俺との間隔をまた遠くする。
「スッ……」
俺はからかうのが楽しくなり、体が密着する距離まで間隔を狭めた。
ただ、それが良くなかったのかもしれない──
「もう!なんでそんなに近づいてくるの!?」
焦った戸宮が俺から勢いよく離れだす。
「戸宮!危ない!」
「……え?」
「キイイイイイイ!」
戸宮が俺から勢いよく離れた瞬間、奥からトラックが戸宮に向かって勢いよく走ってきたのだ。
俺は助けようと、戸宮に向かい勢いよく飛んだ。
「ッ……!戸宮大丈夫か!?」
「わ……私は大丈夫……」
幸い、戸宮は怪我を一つもしてなかった。
「ごめん、俺が戸宮をからかって遊んでたからこんなことに」
「いや……そんなことより……」
「この体勢……恥ずい……」
「え?」
恥ずかしながら言う戸宮に疑問に思いながら下の方を見ると──
「あ!いや、まじごめん!」
なんと俺は壁に密着した状態で戸宮を抱きつくようにしていたのだ。
俺は勢いよく離れたが時すでに遅く、この状況によって先程から顔が赤かった戸宮は、熱を感じさせるほど顔が火照っていた。
「めっちゃ恥ずかしかった……」
「まじすんませんした……」
戸宮は少し目を細め俺にそう言ってきた、本当に反省である。
「でも、守ってくれてありがとうかっこよかったよ!」
「……!?」
笑顔でそう言った戸宮に対し、俺は照れて顔を隠してしまう。
「なに〜照れてるの?」
「照れてねえし!」
「わかりやす」
手で口を覆いながら戸宮はこちらに対して笑ってくる。
「お前だってさっき抱きつかれた時めっちゃ照れてたじゃねぇか!」
言われたまま終わる事も出来たが、なんか癪に障り俺は言い返す。
「あれは年頃の女の子にいきなり抱きついてきたのが悪いだけですー!」
やらかした反面言い返しづらく……俺はこれ以上何も言い返せなかった。
「ねぇ、渓介」
「ん、なんだ?」
戸宮が少し不安そうな顔をしながら俺に聞いてきた。
「渓介って、他の女の子人にもああ言う事するの?」
「ばーか、お前以外にする相手なんて居ないし、そんな命かけて助けようとなんてしねえよ」
「ふふっ……よかった♪」
「なんか言ったか?」
「えぇ〜?なんのこと?」
確実になにか言っていたようなきもするが、戸宮はなにもしらないような顔をしながらそのまま前を歩く。
「なんか言ってたような気がしたんだけどな」
俺はそう考えながら学校へ向かうのだった。
昔振ってきた子が久しぶりに会ったらなんか優しい ハトア @Hatoa
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