第9話
「芹、疲れてる?」
上気した頬に口を寄せると、璃星は首に腕を回して密着する。
心配そうに見つめる璃星の瞳に映ると、昂ってしまうのは仕方ない。
「お疲れ様」
「ありがとう」
自然と近付く唇に、白濁のお湯が小さく揺れる。
璃星が見つけた、甘いジャスミンの香りのする入浴剤だ。
「……それ、私も出席しようか?」
ぼやける湯船の中でもキラリと光る薬指の指輪を眺めていると、璃星はふと呟いた。
「璃星が?」
「うん。何人か知ってる方もいるし、色々聞き出しやすいと思うよ。錦ノさんにも結婚の挨拶できてないから」
確かに話術に長けた璃星が協力してくれるのは良い話だが、俺にとっては面白くない。
店が店なだけあって、ほとんど接待で女がついて回る。
璃星も同じように、他の男につくのなんて想像もしたくない。
「それに……」
恥ずかしそうにさらに密着する。
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