第8話

「祝賀パーティー?」


「そう。繁華街にある店が三周年記念なんだ」


湯船につかる璃星が見上げる。


「なんのお店なの?」


「キャバクラ」


俺は立ち上がって髪をかきあげ、璃星を見つめた。


小さな水飛沫が目に入ったのか、大きな瞳が閉じられた瞬間に柔らかい唇へ口づける。


「三周年のお店だとしたら……LoVe StrawBerryかな?オーナーは確か……」


「錦ノ友名にしきのともな。璃星知ってるの?」


「うん。前に一度、パーティーでご挨拶した程度だけど」


社交界の華と呼ばれていただけあって、璃星の交流は幅広く、情報通だ。


「その店の売り上げがマイナスに修正されてたんだ。うちの会社の人間がやったのは分かったけど、他にもグルでやってる可能性があるから」


記念パーティーのついでに調べに行くことになった。


本来なら欠席しようと思っていたが、そこそこ大きな額だから放置するわけにも行かない。

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