第5話

ブブッ


「ん…芹着いたのかな…」


手に持ったスマホが震えて、また薄っすらと目を開けた。


二度寝してしまった。


ポチポチとスマホをタップして、腕がふと視界に入る。


赤い花弁の咲く私の体は、芹の所有印のように主張する。


「起きないと…でも腰が……」


重たくて痛くて怠い感じ。


体に鞭を打って起き上がると、包まれていたシーツが滑り落ちた。


「わぁ、ここもすごい」


見える範囲だけでも分かる赤いキスマークに、近くにあった大きな全身鏡に体を映す。


背中もびっしりとついていた。


「こ、ん、な、に……」


また芹から返ってきたメッセージに、無意識に声を出しながら返信する。


"こんなに跡つけたらお外出れない!"


頬を膨らませた絵文字を添えて送信した。


実際は服でどうにか隠れるギリギリにあるし、私もそんなに気にしていないけど。


私はまた小さく伸びをして寝室から出て行った。

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