第4話
前に、芹がこの業務連絡用(?)のスマホを用意した時、買いに行ってくれる人の電話番号を私が登録した方が早いんじゃない?と言ったことがある。
『俺以外の男の番号を登録するってこと?面白い冗談言わないでよ璃星』
『いや、冗談じゃないんだけども』
『本気?』
『わざわざ用意しなくても、お金もかかるし』
『金なんて腐るほどあるから気にすることない。それより璃星が男の番号持ってる事に気が狂いそうになる。これでも妥協した方だよ』
元々持っていたスマホは結婚してから返ってきた。
雄大さんに壊して捨ててと言って渡していたけど、大事に取っておいてくれたみたいだ。
久しぶりに電源を入れれば、櫻子と芹以外の連絡先は全部消えていたけど。
「璃星、璃星」
「…?」
トリップしていた思考を戻して、顔を覗き込む芹に緩く微笑む。
「もう行くね」
「うん、行ってらっしゃい」
芹の首に腕を回して触れるだけのキスをした。
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