第2話 楽しめと心が言うよ夜行バス
やはり、営業は向いてないのか?と自問自答する日々が続いた。
自分は話上手のお調子者で宴会部⾧なので人から好かれると思い込んでいた。
だから営業は向いていると思っていたが真逆で緊張すると言葉が出ない、嫌いな人には調子よく対応できない、宴会部⾧を受け持った次の日は二日酔いで機嫌悪いと気づく。
何か黙々とコツコツとやる仕事が向いているんじゃないかと思い始めた。
そうや、妻が背中さすったら楽になった言うてたやん…マッサージなら売り上げ気にする事はないし、手に職もつくやんと膝を叩いた。
「今の仕事辞めてマッサージの仕事に就こうと思てんのやけど、どうやろ?」
と尋ねると
「そっちのほうが向いてるかも」
と妻は言った。
「35歳、ちょうど良い年齢ですね。健康ランドのマッサージは体力が要ります。50代ではきつすぎるし、かと言って20代だと世間話がうまくできません」
面接時に社⾧は言った。
子供が一人いるのに転職は勇気がいったが営業職を続けてメンタルがやられる前に決断した。
私はマッサージの派遣会社に入社した。
「まずは研修を受けてもらいます」
と言う辞令で東京に一週間行く事になった。
「新しい旅立ちやね」
「うん、応援してくれてありがとう。留守中、愛子の事よろしく頼むわな」
「任しといて。なんか営業マンの時には見られへんかった笑顔やね」
と妻と言葉を交わし東京行きの夜行バスに乗った。
心が楽しめと言っているような気がした。
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