第8話 検証結果
「ひとまず検証した結果、こんなところか?」
2週間かけて検証した結果、いくつか分かったことがある。
まず一つとしてドブネズミ改めポケットマウスが友達となるのは、紫色の毛並みを持つ個体だけということだ。
つまりは瘴気を持つ個体だけ。
紫色の毛並みを持たないポケットマウスは俺には興味は全くなかった。
食事をしている彼らの目の前で変顔選手権を20連続でやっても誰も反応しなかったから、これは確かだ。
笑わせる自信あったんだけどな。無駄にショック受けたわ。
一方で紫色のまだら模様をもつポケットマウスは俺に対して興味があるらしい。
変顔したらベロリと舐められた。きったね。
そして毛並みにある紫色が強ければ強いほどに俺に対して攻撃性が高くなり、俺を食べようとしてくる。
つまりは瘴気を保有している量が増えれば増えるほど俺に対して攻撃性が高くなる。
つまり彼らにとって俺というかスライムは最初から餌だったわけだ。
コイツラ、俺のことなめてるね。
いや実際に舐められてたわ。
今度は俺が舐め返してやる。
もう1つ。
俺自体は別に毒ではないというもの。
一度分裂して相手に食べさせてみたが、相手は別に苦しんで死ぬということはなかった。
最初に食べたハムスケはもがき苦しんで死んだのに、検証の時には死ななかった。
ほとんど条件は同じ、だがこの2つには明確な違いがある。
それは俺がもがき苦しんで死ねと思ったかどうかだ。
死ねと思ったら死ぬなんて中二病過ぎて普通にありえないのだが、スライム転生なんてのが起きる異世界だ。
考慮には入れていた。
俺はこれを検証するために、今日1日でできた友人モグスケを犠牲にした。
前回は向こうから食べに来たが、今回は自分から体を差し出した。
「ほら僕のお顔をお食べ。そして死ね」
モグスケは死んだ。
本当に思っただけで死んだようだ。
「なるほどね」
今回の検証でよくわかったのは、分裂した直後は出した命令を聞くということだ。
本当に少しの時間だが、そのすぐの時間で相手は死ぬ。
これが分かっただけでも大きい。
今後俺は自分の体を差し出して相手に食べさせて死ねと命令するだけで殺せるということだ。
「ふーむ。ならどんどん相手の口に俺の体を突っ込んでいくか」
どんどん相手の口に俺の体を突っ込んでいくスライムおじさんの誕生だ。
では早速長年の友(5分)であるハムスケを頂こう。
しかしスライムといえど友達を犠牲にすることには心に来るものがあるな…。
これは何だろう、罪悪感?
いやこれは…。
「空腹感か?」
確かにちょっと腹減ってたんだよな。
スライムに罪悪感なんてないのかもしれない。
まあこいつらも俺の顔を差し出すと遠慮なく食べていたから、結局スライムのことを餌としか思ってないんだろう。
何も問題はない。
「モグスケ、お前の死は無駄にしないからな」
物語ではよく主人公は友達の死を乗り越えて強くなる。
俺が主人公かどうかは分からないが、俺もお前の死を乗り越えて強くなっていくよ。
「では遠慮なく、いただきます」
もぐもぐもしゃもしゃ。
うーん。やはりほんのり甘くてうめぇ。
どうやらこの甘さに裏切りは関係なかったらしい。
昼ドラ系ならぬ昼ドロ系スライムじゃなくて良かった。
あぁ、うまい。
食事をしている時にこそ幸せを感じるぜ…。
ステータス
名前:なし
種族:スライム
種族:最下級精霊
霊力:13
貯蓄瘴気:4
転生特典スキル:『鑑定』、不明
固有スキル:『分裂』『吸収』『変換』
称号:『友情を食すもの』
スキル:
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