第4話
「なんか、JKの胸の上にこんもりと盛られたタコ焼きをおいしそうに食べる夢を見たんだが」
しかも無限湧きだった。ほくほくのタコ焼きをどれだけとってもJKの胸が見えない。
口の中はタコ焼きだらけ、目の前もタコ焼きだらけ、周囲もタコ焼きだらけ。
たこ焼きしか見えなかった。
いい夢、なのか?
食べられるんだったらいい夢だよな…?
けど、胸の上にたこ焼き置いたら絶対熱いだろ。JK次の日胸の痛みで寝られないだろうよ。
あまりにも味も色もない世界だからこんなアホみたいな夢を見るんだろうな。
いい加減何か変化が欲しい。
と思っていたら変化が起きた。
あれから再び数日が経った。
相も変わらず無味乾燥な毎日だ。
ステータスはほとんど変わらず、一体どこで増えたのかわからない瘴気量が1伸びたのみ。
だが他に変化があった。
「おはようハムスケ」
「ちゅー」
友達ができたのだ。
友達と行っても、ただ食って分裂を繰り返し、交通事故を避けることのできないスライムではない。
あいつらは決して友達ではないのだ。
ただの森の自動ゴミ掃除機だ。
集めたゴミを吐き出す必要はないし、自動的に増殖するからルンバよりかは高性能だろうな。
頻繁に迷子にはなってSNSで話題になって三日で飽きられそう。
「ちゅちゅ」
それで今俺の隣にいるこいつは新しくできた友達、ハムスターのハムスケだ。
ちょっと地球のハムスターと比べて目が切れ長で爪が長いし、尖った鼻先を持っている、概ねほぼほぼただのハムスターだ。
決してドブネズミではない。ドブネズミに似ているけれどドブネズミではない。
いいか。
俺は友達を馬鹿にするやつは許さない。絶対にだ。
こいつは珍しくこの森の中では小さい方で、体は俺よりも少し大きいくらいだ。
ハムスケという名前は俺がつけた。なかなか可愛らしいだろ。
やはり友達と言うからには名前がないとな。
だから、お前も俺の名前を考えといてくれよ?
期待の眼差しを向けると、ハムスケは何もわかっていないような目を向けた。
…大丈夫かな?
こいつと仲良くなったきっかけというのは、こいつに色はついているからだ。
体中に紫色の斑点がついていた。
そう。白黒でしか認知できない世界の中でこいつにだけ紫の色がついていた。
だから気になったし注目した。
ひょっとしたらこの紫色がついている生き物には何かあるのかもしれないと警戒していたのだが、しばらく観察しても無害そうだったために話しかけた。
当然言葉は通じなかったが、思いは通じている。
俺はそう信じている。
お互いに似たようなものを食べ、似たような場所に生活している。
たまにハムスケは親愛を示してるのか、俺を舐めてくる。
いいやつだ。ざらざらの舌なのか、舐めるたびにスライムのかけらが飛んでるけど。
だがそんなことは気にしない。
この白黒無味乾燥の世界で、唯一色と癒しを与えてくれる存在だ。
これを友達と言わず何と呼ぶべきか。
お前とは長くやれそうだよ。
「ぷるぷる!」
「ちゅー!」
ただちょっと気になるのは日ごとに紫色の強みが増しているということだろうか。
なんだろう。信頼ゲージか何かかな?
だとしたら友好度を高められている証拠だ。MAXになれば紫色に輝く宝石になるんだろうか。
いずれにせよこのまま仲良くしていきたい。
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