第13話

「彼らが危険だというのも理由の1つではありますが、個人的には絲様が彼らの誰かに惚れてしまわれるのが我慢なりませんのでくれぐれも近づかないようにして下さいね」



急に甘い雰囲気を纏って猫撫で声で縋るようにそんなことを言う藍の目をジッと見つめれば、優しく微笑みを返される。




「私はあなたがよく分からないわ。」



「お慕い申しておりますと日々伝えているではありませんか」



「貴方ほどの美貌があって、学園を出れば引く手数多なクセに私なんかを好きだと言うの?信じられないわね。一体なにを企んでいるのかしら。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」



藍は普段から私に愛を囁く。


それがどんな意図があっての事なのかさっぱりわからないから私は困っているんだ。



学園では家畜という立場上、あまり目立つことがないから女子生徒もあまり寄ってこないとは思うけれど、外に出ればそんなものは関係ない。



藍と歩いていれば、私がいるのにも関わらず逆ナンが絶えない



あまりにも私と藍が釣り合っていなさすぎて、簡単に掻っ攫えるとおもわれているらしいけれどその度に藍は「貴方達より絲様のほうが美しい。」と言いながら私の手にキスを落とす。



公衆の面前で、だ。



ちなみにこれは私が1番恥ずかしい思いをしているのをいい加減わかって欲しいのだけれど、何度言っても藍はそれをわかってくれない。



「愛する気持ちに企みもなにもございませんよ。そろそろ振り向いてもらえないものでしょうか?僕はもう10年も片想いをしているというのに」

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