第11話 洞窟のボス②
「くるよ! セリア!!」
メルの言葉と共にグレートキャンサーのハサミが僕を切り裂こうとしてくる!
「...【真空の刃】」
一応水系の敵に分類されるグレートキャンサーに【紅蓮の刃】は効果が薄い。
ならば技の選択肢の少ない序盤は【真空の刃】を使うのがベストだろう。
しかし、それでも僕の技では相手の攻撃を跳ね返して僅かなダメージを与えるのが限界だ。
「メル! 電撃魔法を!」
なので僕は勇者専用の魔法である【電撃魔法】を使うことを推奨する。
「う...うん! 分かった! 【初級電撃魔法】!」
勇者メルが覚える魔法は【電撃魔法】に【火炎魔法】、そして【回復魔法】の3つだ。
他にも細かく分けると沢山覚えるのですが、戦闘で主に使うのはこの3つが多い。
特に【電撃魔法】は聖なる力の宿る電撃を放つと言う勇者専用の魔法なので消費MPが多くても使用頻度の高い魔法である。
現に今もメルの指先から放たれた魔法がグレートキャンサーの攻殻を焼き焦がす!
「うぎゃっ!? 傷などほとんどついたことのない攻殻が1発で黒焦げに!?」
そう、グレートキャンサーには特に効果的でこの魔法がないと序盤から詰む可能性すらある。
だからこそメルのレベルを5〜6程度に上げて【初級電撃魔法】を覚えさせておいたのだ。
これさえ覚えていれば実質勝ち確なのであとは消化試合だ。
(悪いな。初見でレベル3で突撃お前の硬い攻殻に全く歯が立たず全滅したのは本当にトラウマだから、2周目以降はこうやってたんだ)
僕は静かに笑いながら奴が崩れ去るまで電撃魔法を使うようにメルに指示を出すのでした。
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