第12話 洞窟の外側

「やったー! おっきなカニを倒したー!!!」


 メルが大はしゃぎする中、僕はドロップアイテムの確認をする。


(...レアドロはなしか)


 ここでグレートキャンサーのハサミがドロップすれば金になると考えた僕ですが、残念ながらそれはドロップすることはありませんでした。


(まあ...いいや)


 そう思いながら剣を鞘に収めると、そのまま洞窟の出口に向かいます。


「この洞窟ってどこに繋がってるのかな?」


 興味津々な様子で僕にそう呟くメルに対して僕はこう返しておく。


「まあ、やばかったら戻れば良いでしょう」


 と。


 ここでどこに繋がっているかを答えるとかなり不自然な会話となり、後にメルとの友好関係に支障が出てもいけないからである。


 魔王を倒すには絶対に勇者メルの助力が必要不可欠であり、それを踏まえての行動が僕には課されているからだ。


 とは言え、剣士セリアの特典として勇者メルとは幼き日の友達と言うアドバンテージは消えることはない。


 これはかなり大きなアドバンテージだ。


(下手に終盤の雑魚キャラNPCとか次の町のNPCとかにならなくてよかった)


 確かに終盤の雑魚キャラNPCに転生すれば自分の身を守るくらいに強くなるのは造作もないことではある。


 しかし、それでは絶対に序盤の村にいる推しの子を助けることは叶わなかったであろうことは明白。


 そこだけは神に感謝しておこう。


「あっ、日の光が強くなってきたよ!」


 ワクワクで胸がいっぱいの勇者メルを尻目に、僕は次の一手を考えているのでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る