お題:小包み 25分 『…?』

朝起きて郵便受けを見ると、可愛くラッピングされた四角いものが入っていた。


宛先は、当然ながら僕だった。送り主の名前はない。


危ないからそのまま捨てようかと迷ったけれど、好奇心が勝った。


可愛い水色のリボンを解き、ちょっとキラキラしている包装紙をゆっくり剥がす。


ちなみに僕は丁寧に包装を解くタイプだ。


四角いものの正体は、ケースに入ったDVDだった。マジックペンで大きく、

「君へ。」

と書いてある。


呪いのビデオとかだろうか。


再生してみることにした。


そういえばプレーヤーが壊れていた気もするが気にしない。


じ、じじじと音を立てDVDがプレーヤーに飲み込まれていく。


ビデオが始まった。


若い男性がどこかで座ってこちらを見ている。顔は見たことあるようなないような、これと言って特徴のない平凡な顔をしている。


「このビデオを見ているということは私はもうこの世にいない、ことはないか。うん。ないな。普通に生きてます。」


ピッ。ビデオを止めた。


なんなんだこいつ。てか誰なんだ。


それはあとで考えることにして、続きを再生する。


「今、ふと思ったんだけど、生きるってなんだろう。本当に我々は存在しているのかな。全て仮想なのかもしれない。え、どうしよ考えてたら怖くなってきた、え?俺たち本当に存在してるよな?いや存在してないかも…」


急に哲学的になった。しかも途中から全然こっち見ずに喋ってるし。


「うーん………」


「うーーーん………」


「うーーーーーん………」


ずっと考えてるじゃん。考えても答え出ないって。


「………」


「………zzz………zzz」


寝た。こいつ寝たぞ。






その後、彼は20分ほど寝たあとビデオを切った。


とても無駄な20分間だった。


彼は僕に何を伝えたかったんだろう。


というかなんで住所も名前も知られているんだろう。怖い。


あまりにも怖すぎる。


これ警察とかに持ってった方がいいのかな…



本当になんだったんだろう…



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SS置き場(不定期更新) ひよこ @qasw

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