第8話 美しき筝の調べ
藤原忠平の勧めで、賀茂保憲が忠平の息子の藤原師尹に仕えることになった。彼は忠平が高齢のときに生まれた子で、兄弟の中でも特に可愛がられていた。忠平は、陰陽寮の中でも並々ならぬ才智を発揮している保憲に期待していた。
晴明は梨花から賀茂家の役に立つ方法について尋ねられる。忠行に相談したところ、彼は梨花を保憲と一緒に師尹に仕えさせようとする。晴明はまだ世間を知らない彼女に傷ついてほしくなかったので、忠行の提案を断った。
忠行は息子を重用してもらうために師尹をもてなした。藤原四兄弟の中でも特に冷淡な性格で知られる彼は、宴の場でも無愛想だった。晴明と保憲は緊張しきっていた。
姫君は人前に顔を見せてはならないので、梨花は部屋に籠もっていた。音楽を好む彼女は特に筝の演奏に秀でていた。筝を弾いている間は暖かな気持ちになり、まるで上古の仙人になったような感覚になった。やわらかな音色に師尹は心惹かれるが、会うまでには至らなかった。
暦得業生と陰陽師の仕事で多忙になり、保憲は過労で倒れてしまう。晴明は梨花と一緒に保憲の疲労を回復するための薬を調合し、保憲は全快した。これをきっかけに、梨花は医学に興味を持ち始める。
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