第7話 赤山明神

晴明は梨花から少しでも賀茂家の役に立ちたいと頼まれ、以前にも増して教育に勤しんだ。秋になって、梨花が賀茂家の繁栄と晴明の出世を祈願したいというので、晴明は彼女に付き添った。二人は都の寺社を巡り、最後に赤山禅院にたどり着いた。寺院の境内は、紅葉が炎のように色づいていた。


この寺院には赤山明神が祀られており、唐では泰山府君と呼ばれている。晴明と梨花は、初めてその名を耳にする。紅葉と泰山府君に心を惹かれた彼女は、毎秋参詣することに決めた。その日の夜、梨花は幻想的な夢を見た。夢の中で、彼女は一人の仙女が誕生する瞬間を目撃する。


天慶六年(943)、賀茂忠行と文章家の娘との間に息子(後の慶滋保胤)が生まれた。晴明は梨花から、忠行が賀茂保憲の母以外の女とも関係を持っていることについて問われる。晴明はよくあることだと伝えたが、梨花は納得のいかない様子である。


保憲が暦得業生と陰陽師を兼任することになった。陰陽寮において得業生になった者は、博士に就任する前に陰陽師として実務経験を積むことが暗黙の了解だったからである。このことを伝え聞いた藤原忠平は前途有望な彼に興味を抱き、愛息子に仕えさせようとする。

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