第6話 賀茂の娘
晴明が梨花を助けてから数ヶ月経ったが、彼女が何か思い出す様子はみられない。家人の中には、彼女を物の怪あるいは怨霊ではないかと噂する者もいた。梨花は居心地の悪さを感じ、申し訳なく思っていた。
ある日、晴明と保憲が帰宅すると、机の上に一通の手紙が置かれていた。手紙は梨花が書いたもので、彼女は皆に迷惑をかけたくないからと家を去る決意をしたのだった。晴明は、幼い頃に母が手紙を残して行方知れずになったことを思い出して、胸騒ぎがした。夜が更けようとしていたにも関わらず、晴明は梨花を探しに出かける。
この頃は群盗が横行していた。梨花が京中を彷徨っていると、盗賊の集団に遭遇した。襲われそうになったところ、警固にあたっていた武官の男が盗賊を射殺した。ちょうどそこへ晴明と保憲が駆けつけて、何とか梨花を連れ戻した。晴明は梨花に、一人で抱え込まないよう伝えた。彼女もまた、勝手に家を出ていかないと約束した。
七夕の日、晴明は梨花から何を願うのか聞かれる。彼は白雪と出逢ってから今まで、再び彼女に逢いたいと願っていた。梨花は晴明にとって白雪はとても大事な人なのだと感じた。彼女も心の中で、晴明と白雪が再会することを願った。
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