第5話 光り輝く少女

地獄に強い邪気が立ち上っているのは、裁かれる罪人の数が増えたせいだ。責任を感じた白雪は、周囲の制止を振り切って災いを鎮めた。彼女の魂は散り散りになった。泰山府君と炳霊帝君は、白雪が死んでしまったと思い悲しんだ。ところが、白雪の魂の残滓が集まって人間の姿を形作った。彼女は平安京の北山で倒れていた。


天慶五年(942)、晴明は空から光り輝くものが地上に落ちていくのを目にした。落下した方へ急ぐと、傷だらけの少女が倒れていた。晴明は少女を抱えて家に帰り、彼女を介抱する。


目覚めた少女は記憶を失っていた。晴明は彼女の顔を見て、何となく白雪に似た雰囲気を感じる。話し合いの結果、彼女の記憶が戻るまで家に匿うことになった。少女の名前がわからないので、晴明は彼女を梨花と名付けた。


梨花を拾ってきた責任として、晴明は彼女の世話をすることになった。意識を取り戻したばかりの梨花は、一人ではほとんど何もできず、まるで子育てをしているような感覚だった。


なかなか記憶を取り戻さない梨花を見て、賀茂忠行は自分の娘として育てようとする。最初はぎこちない様子だった梨花も、次第に普通の姫君と同じように教養を身につけていく。

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